こんにちは、広報くらたです。
先週の涼しさから一転、日中は汗ばむ陽気に戻りました。でも朝夜はすっかり秋の気温!「小さい秋」を見つける毎日です。風の中にはキンモクセイや葛の花のあまい香りが、つい先日までアジサイが茂っていた線路わきには、ススキが穂を揺らしています。葛とススキは、奈良時代に編まれた『万葉集』において、山上憶良が萩、撫子、女郎花、藤袴、桔梗とともに「秋の七草」と詠んでいます。藤袴などはなかなか目にする機会がありませんが、どれも優しげ(葛はその香りもあってわりと華やかですが…)で夏の花とはまた違う、ほっとする風情を持っているなあと思います。
今週は、秋~冬の味覚、さといもをピックアップします!秋の七草と同じく、万葉集にも登場するほど、昔々から日本人の生活の中にあった野菜です。シンプルなレシピ2種もご紹介しています◎
***さといも***

インド東部から東南アジア原産と言われる、サトイモ科の野菜。サトイモ科にはほかに、コンニャクやミズバショウ、観葉植物で人気のポトスやアンスリウムなどがあります。
日本へやってきたのはなんと!稲の伝来より早い、縄文時代のこと。稲作定着以前の人々の主食でした。ジャガイモやサツマイモがメジャーになる江戸中期~後期までは、イモの代表格として現代以上によく食べられていたそうです。明治時代の森鴎外の短編『里芋の芽と不動の目』には、さといもを分ける作業が、農村での昔ながらのコツコツとした仕事の象徴として描かれています。
ちなみに、さといもという名前は山で採れる「ヤマイモ」に対し、里で採れることから。この名前からも、いろいろな種類のイモが日本に入ってくる前からあったんだ、と推測できます。
火を通すとねっとり感とほくほく感、ほんのりとした甘みを感じられます!わたしたちが食べている「芋」は、実は肥大化した「茎」。中心の大きな親芋に子芋ができて増えていきます。親芋を食べる品種、子芋を食べる品種、ずいきのように葉茎を食べる品種など、さまざまな品種があります。今の時期お届けする「石川早生」という品種は、小ぶりの子芋です。直径3㎝ほどとかわいらしいサイズで、旧暦の8月15日にあたる十五夜に昔から供えられ食べられてきた、「きぬかつぎ」という料理に適しています。
「きぬかつぎ」はさといもを皮つきのまま茹でまたは蒸したもの。白い芋が皮を纏う様子が、平安時代の女性の外出時の服装「衣被き(きぬかづき)」のようだと名づけられました。今は転じて、「きぬかつぎ」と呼ばれています。今年の十五夜は9月27日。月とともに、ほっこりと味わってみてはいかがでしょう。

***さといものおすすめレシピ***
きぬかつぎ

1) さといもを皮つきのまま茹でる、または蒸します。(蒸しの方が、ぬめりは少なくなります。電子レンジ調理でも〇です!)竹ぐしがすっと通るやわらかさになったらOKです。
2) さといもの頭(親芋から切り取られた方)を切ります。
3) ごま塩、練り味噌を上に乗せたらできあがり。ゆず味噌などもおいしいです!

押し出すようにすると皮はするっとむけます。さといもそのものの風味をたのしめます!
さといものごま和え

1) 黒すりごま(大さじ1.5)、醤油(小さじ1)、砂糖(小さじ1/3)を和えておきます。
2) さといもを皮つきのまま洗い、蒸し、または電子レンジで加熱します。きぬかつぎと同様、竹ぐしがすっと通ったらOKです!
3) さといもが熱いうちに皮をむきます。
4)1と3を和えたらできあがり!
さといものねっとり感とごまの香ばしさは、とってもよく合います!
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それでは、また来週!