vol.17

私は小さいころからピーマンが好きでした。幼稚園で先生に言われた「ピーマンが食べられるんだね!」その一言ではじめて、この野菜はどうやら嫌われているらしいと知りました。

ピーマンは、種が成熟するまでのあいだに生きものに食べられてしまわないよう、苦味成分、香り成分を多く含んでいます。
この苦味がピーマンの美味しさなのですが、大人より苦味に敏感な赤ちゃんや小さなお子さんにとっては、そう感じられないことが多いのです。

子どもの苦手な野菜ランキングではいつも上位。
けれど、栄養価が高く学校給食でもよく登場するため、早くから食べられるようにしておきたい、好きになってほしい、一緒に食べたい、というお声もよく聞きます。肉詰め、青椒肉絲など、ピーマンでなくちゃというお料理もたくさんありますしね。
ピーマンデビューとその後のお付き合いについてお話しします。

離乳後期

ピーマンを食べはじめるのは離乳後期ごろがおすすめ。
皮を剥いて煮ると、離乳中期の赤ちゃんでも食べられる柔らかさになりますが、離乳食に味付けをする後期以降のほうが、食べやすいアレンジができます。

苦味は旨味で和らぐと言われています(※1)。
お出汁で煮て、おかかとおしょうゆを1、2滴たらして仕上げるのがおすすめです。
この時期は皮は剥きましょう。縦に切って種をとり、茹でて冷水にとると、つるんと剥くことができます。トースターで焼いて剥くこともできますが、茹でたほうが苦み成分が流出します。

離乳完了期

離乳完了期のおすすめメニューは、ピーマン入り肉団子。
肉詰めはまだ少し食べにくいので、細かく刻んでひき肉と混ぜて肉団子にしましょう。ピーマンがお肉の旨味を吸ってくれます。

ピーマンとのお付き合い

工夫を重ねても、苦味を感じてしまってピーマンを食べられないお子さんは多いです。すぐに仲良くなってもらうのは難しいかもしれません。
でも実は、子どもの頃にピーマンが苦手だった人の多くが、大人になってピーマンが食べられるようになっているのです(※2)。
ピーマン克服のポイントは、ときどき出会うこと。
嫌いだからと遠ざけすぎてしまうと、好きになるチャンスを失ってしまいます。
無理に食べさせなくても大丈夫。たまに食卓に出し、大人が美味しそうに食べる姿を見せる。そんなお付き合いをつづけてみてくださいね。

2歳8ヶ月の息子はピーマンをさわるのは大好き、でも食べるのはちょっと苦手。
定番メニューは刻んでひき肉と混ぜて炒めた、カレー風味のそぼろです。こうすると、苦くない、美味しい、とどんどん食べています。
お野菜そぼろは、ピーマン以外でつくっても美味しく食べやすくて、今ではわが家で大人気メニューです。このレシピにたどりつけたのは、ピーマンが苦手な息子のおかげだな、と思います。

※1:健二前橋, 芳佳有留, 麻未股野と泰山本. 「かつお節によるゴーヤの苦味低減」. 日本食品科学工学会誌 55, no. 4 (2008年): 186–90. https://doi.org/10.3136/nskkk.55.186.
※2:強堀尾. 「嫌いな食品の嗜好変化に関する研究」. 研究紀要 13 (2012年3月31日): 115–23.