はくさい菜が好きです。ふわふわ、ひらひらとした淡いグリーンの葉。透き通るように白く、すっと伸びた茎。そして、主張しすぎないやさしい味わい。でも、そのやさしさに甘えてつい、いつも汁物の具にしてごめんなさい。お味噌汁のなかのあなたも大好きだけれど、今度は主役にしてあげたい……。そんな願いを叶えるべく、レシピ担当・はらだにとっておきの一品を教えてもらいました。

はくさい菜とネギの生姜和え

はくさい菜は、だいこんやキャベツと同じアブラナ科のお野菜。丸く結球しないはくさいの一種で、中国が原産とされています。
   今では結球型の、葉がギュギュッと巻いたはくさいのほうがおなじみになりましたね。でも実は、日本で栽培が始まったのは、はくさい菜のほうが先。江戸時代の後期に編纂された農書に「白茎菜」という名前で登場しています。高菜や壬生菜とともに、漬け菜のひとつとして古くから栽培されてきました。
   関東では「べかな」とも呼ばれていますが、これは江戸時代から明治にかけ、現在の葛西地区(東京都江戸川区)のあたりで育てられていたはくさい菜が「べか舟」という小舟に積まれて江戸の街へ運ばれていたことから付けられたそう。江戸の人たちはどんなふうに食べていたのだろう。お漬物かな、それとも、やっぱりお味噌汁だったりして……。タイムスリップしてのぞいてみたいですね。
   さて今回は、はくさい菜が主役のレシピ。葉も茎も生のまま使って和え物を作ります。
 やさしい甘みを楽しめるよう、味つけは塩とマヨネーズだけでシンプルに。アクセントに生姜をピリッと効かせました。はくさい菜のシャキシャキの歯ごたえを、ネギのトロッとした食感が引き立てます。ごはんに合うのはもちろん、お酒もすすむ一品です。

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1) はくさい菜200gをざく切りにし、塩5gをもみこんでしばらくおく。
2) ネギのソテーを作る。
 白ネギ150gを長さ約5㎝に切る繊維に沿って縦に切れ込みを入れ、芯と外側の白い部分に分ける(白髪ネギを作るときのように切ります)。芯は縦半分に切り、白い部分は千切りにする。フライパンにごま油大さじ1を入れて熱し、白ネギの芯を弱火で炒める。芯に火が通ったら、千切りにした部分を加えてさっと炒める。バットや平たいお皿などにあけ、粗熱をとる。
3) 生姜1片をすりおろし、マヨネーズ大さじ1と混ぜる。
4) 1のはくさい菜の水気を絞り、2のネギのソテーと3を和える。器に盛り、白炒りごま少々をふって、できあがり。

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   はくさい菜に近いお野菜に、「しろ菜」があります。同じくアブラナ科で、結球しないはくさいの仲間。味も食感もよく似ていますが、こちらはしゃもじのように丸くてつやっぽい葉をしています。


 しろ菜は昔から大阪を中心に栽培されてきたので、関西では今もこちらが主流。今回のレシピは、しろ菜で作ってももちろん美味しいですよ。