香り豊かな黄熟梅でつくる梅酒のレシピを、和歌山県田辺市で梅を育てる、〈田辺印の会〉の宇田川啓太さんに教えてもらいました。

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農家さんより

完熟(黄熟)の梅は華やかで、香り豊かな梅酒が作れます。
ただし、果肉が柔らかくお酒が濁りやすいので、丁寧に漬けるようにしてください。
アルコールは、日本酒で漬けると少し甘みが出るため、砂糖を入れなくてもまろやかに仕上がりやすく、おすすめ(ただし、法律上アルコール20%以上の日本酒で漬けなければなりません)。
ホワイトリカー等で漬ける場合は、砂糖を少し入れたほうが飲みやすいですが、通常よりもかなり少なめにしています。
梅の漬け込みは半年以上、飲むまでは1年以上寝かせるのが理想です。ゆっくり熟成するうちに、アルコールや酸のとがりがとれて、だんだんまろやかになってきます。

材料

南高梅(黄熟) 1kg
日本酒原酒(焼酎やブランデーでも可) 1.8L
※梅のアルコール発酵を抑えるため、また法律上の理由から、お酒はアルコール度数が高いもの(20%以上)を選びます
きび砂糖 300g(お好みで)
保存瓶(梅1kgの場合、4L以上のものを準備)

下準備

・梅の下準備
梅は水洗いして、水気を切ります。
ヘタが気になる場合は、爪楊枝などで取り除きます。
「ヘタ取りは僕はしません。さっと洗うだけ。とりたい方はとっても大丈夫です」と宇田川さん。
手間がかかり、小さなキズなどから傷むリスクもあるためだそうです。

・保存瓶の消毒
保存瓶はよく洗い、熱湯をまわしかけて乾かします。さらに、アルコールで瓶の内側をふきあげると完璧です。

つくり方

1)保存瓶に梅を入れ、お酒を注ぎます。
砂糖を入れる場合は、梅と砂糖を交互に瓶に入れ、最後にお酒を注ぎ入れます。

2)日の当たらない冷暗所に置いて熟成させます。砂糖が溶けきるまでは、1日に数回瓶をゆすって全体を混ぜます。

漬けてから半年経ったら、梅の実を取り出します。このときから飲むことができますが、飲みごろはさらに半年以上寝かせたあと。じっくり熟成させたまろやかな味わいをお楽しみください。

レシピを教えてくれた農家さん|田辺印の会・宇田川啓太さん

紀伊半島の中南部に位置する田辺市は、「南高梅」で有名な和歌山県のなかでも有数の梅の産地。
宇田川さんの畑があるのは海から10kmほど離れた山側の地域で、海側の産地とくらべると、気温が低く収穫時期が遅かったり、足場が斜面になって作業性が悪かったりと、不利になることもあります。
「けれど、梅を育てるうえで、優れていることがひとつあるんです」
宇田川さんは、そう教えてくれました。
それは、周囲に山林が広がり、生物多様性に恵まれていること。
たとえ梅の木にとって害となる虫がいたとしても、近くにはその天敵がいる。だから、多くの農薬を使わなくても、ある害虫が一気に増えるということはそうないといいます。
山の斜面を歩き、畑に植わる400本の梅の木を見て回る宇田川さん。土に肥料を与えたり、枝の剪定をしたり、伸びた草を刈ったり、自然に寄り添いながら、梅の実がすこやかに育つよう、手助けをしています。

 

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