梅のなかで、もっとも早く収穫がはじまる小梅。
実がぎゅっとしまり、漬けると甘い香りのする小梅のレシピを、和歌山県田辺市で梅を育てる、〈田辺印の会〉の宇田川啓太さんに教えてもらいました。
塩漬けや醤油漬けにしてもおいしい小梅ですが、ここではさっぱりと梅の風味が引き立つピクルスのレシピをご紹介します。
小粒で食べやすく、見た目もかわいらしいので、カレーに添えたり、お弁当に入れるのもおすすめですよ。
材料
小梅 1kg
塩(海塩) 50g
酢 150ml
下準備
小梅はさっと洗って、水気をふき取ります。
ヘタが気になる場合は、爪楊枝などで取り除きます。
「僕はアク抜きもヘタ取りもしません。さっと洗うだけ。ヘタは、気になる人は取ったらいいと思いますよ」と宇田川さん。
アク抜きは時間がかかってしまい、小さなキズなどから傷むリスクもあるためだそう。
今回は、洗って水気をふき取り、ヘタ取りをして漬けていきます。
つくり方
ジッパー付き保存袋にすべての材料を入れます。軽くゆすって塩と酢を小梅全体になじませ、冷蔵庫に入れます。1日1回、上下を返して、ピクルス液が全体になじむようにします。
1週間ほどしたら全体が液に浸かってきます。1か月ほど待てば完成です。
農家さんより
「小梅は塩漬けや、シロップにも」
小梅は、梅と同様、塩漬け・土用干しをして梅干しをつくることもできますが、実を干さずに塩漬けするだけでもおいしく食べられます。
小梅の塩漬けをつくる場合は、小梅の重量に対して塩分15%くらいがおすすめです。塩分を5%まで減らすと、お酢を入れないとカビが発生する可能性が高いです。梅酢が上がってくるので、そのまま1か月ほど待って完成。
カリカリとした食感が好きな方は、硬めの小梅を使い、卵の殻をだしパックのような袋に入れて一緒に漬けてみてください。果肉が柔らかくならず、オリーブ漬けのようなしっかりとした食感に仕上がります。
熟した小梅でつくるシロップもおすすめ。小梅で漬けると、いちごジャムのような甘い香りが強く出るように感じます。子どもたちからも、小梅のシロップはとても人気がありますよ。
レシピを教えてくれた農家さん|田辺印の会・宇田川啓太さん
海と山を結ぶように、世界遺産・熊野古道の参詣道が通る、和歌山県中南部の田辺市。江戸時代から梅の栽培が盛んで、今も日本有数の産地として知られるこの地域で、田辺印の会・宇田川啓太さんは梅の木を育てています。
宇田川さんの畑があるのは、田辺市のなかでも山側の地域。海側とくらべると、収穫時期が1、2週間遅く、そのぶん市場では不利になることも。また、木が育つのは急な斜面で、作業性も悪くなってしまう。けれど、山の畑の周囲には山林が広がり、生物多様性に恵まれています。
「自分の努力で何かが変えられるとは思わない。自然になるようになることが大事で、自分はそこに少し手を添えるだけ」
宇田川さんは、山の斜面を歩き、畑に植わる400本の木を見て回ります。そして、土に肥料を与えたり、枝の剪定をしたり、伸びた草を刈ったり、自然に寄り添いながら、梅の実がすこやかに育つよう、手助けをしているのです。