春分もすぎ、すっかり春になりましたね。
みなさまは春が旬の野菜って、何があると思われますか?

実は、あまりないのです。
日本には春夏秋冬があって四季折々の野菜があって、とイメージされる方も多いかもしれません。けれど野菜の多くは、夏か冬が旬なんです。

野菜の準備期間「端境期(はざかいき)」

冬野菜は春が近づくと、花を咲かせるために全てのエネルギーを使いはじめます。
そのため、大根やかぶはスが入りやすくなったり、葉野菜は固くなりがちだったりします。

野菜のきもちかるたでは、こんなふうに紹介しています

冬野菜がどんどん終了するいっぽうで、初夏の野菜、スナップエンドウやそら豆などの豆類、アスパラなどの収穫がはじまるのはもう少し先のこと。
そのため3月から4月ごろは、野菜の種類が極端に少なくなるのです。
このすきまの時期のことを、「端境期(はざかいき)」といいます。

端境期は年に2回めぐってきます。3月から4月ごろが春の端境期。9月後半から10月ごろが、夏野菜が終わって冬野菜が出てくるまでの秋の端境期です。

坂ノ途中は季節の野菜をセットにしてお届けしているので、その種類が減る端境期は少し寂しい時期。野菜のかわりに切り干し大根やお豆を入れたり、たけのこや山菜をお届けしたりといった工夫をしています。
いつもと雰囲気の違うセットのこともありますが……端境期なんだな、と思っていただけると嬉しいです。

この時期だけの美味しさも

といっても、旬の野菜がまったくないわけではありません。
私たちも毎年楽しみにしている、春だけの味わいもあります。

たとえば、葉つきの玉ねぎ。成長途中の玉ねぎの若どりです。

葉つき玉ねぎ

葉っぱの部分はネギにように――でもネギほど辛みはありません――使えて、根の部分は新玉ねぎのように使える。そんなちょっとお得感のある野菜です。

そして、菜の花。
この時期、坂ノ途中でいちばんバリエーションが豊富な野菜です。

菜の花は、アブラナ科の野菜の花芽の総称です。
大根、かぶ、チンゲン菜、小松菜、ブロッコリー、キャベツ、冬の野菜の多くはアブラナ科。
冬のあいだじっと栄養をため込んで、春になったらいっせいに花を咲かせる、その直前の花芽を、昔から日本人は食べてきました。

ケールの菜の花

白菜の菜の花

カーボロネロ(黒キャベツ)の菜の花

現代の菜の花は品種改良されて、菜花専用の品種ができたり、初春以外にも花をつけるようになったり、茎が収穫しやすいように太くなったりしています。
それももちろん美味しいのですが、坂ノ途中では、いろいろな野菜の花をそれぞれに味わってもらいたい! と思ってお届けしています。
白菜なら白菜、大根なら大根と、その野菜の味がほんのり感じられて面白いんですよ。

季節のコントラストを楽しむ

「四季折々、バランスよく旬の野菜がある」。
それは実は人の暮らし、都市での暮らしに寄せた発想かもしれません。自然はもっと偏っていたり、ダイナミックな濃淡があったり。
端境期は野菜が少なくてちょっと寂しいけれど、だからこそ初夏のアスパラや豆類が出てきたときの嬉しさは大きい。
そんなふうに、顔ぶれの移り変わりも楽しんでいただけたら。
これから夏に向かって畑が生き生きとしていく、その喜びもお伝えしたいと思っています。