vol.10

さといもコロッケが大好きです。はじめて食べたのは大学時代、他のクラスが実習でつくったものでした。稲妻に打たれたみたいな美味しさ、コロッケ=じゃがいもの固定観念は打ち砕かれてしまいました。

あまりに美味しかったので、翌日(敬老の日でした)、祖父母のために作りました。とびっきりの笑顔で食べてくれて、嬉しかったな。
さといもコロッケは赤ちゃんにはちょっと早いですが、さといもそのものはいろいろな離乳食におすすめです。

<さといもの皮むき>

加熱すると、手でツルッと剥けます。
つまようじで数か所穴をあけてお皿にのせてふんわりラップし、電子レンジ600Wで1〜2分加熱すればOKです。

離乳初期(5〜6か月)

この時期は食べないほうがいいでしょう。アクとねばりが強く、ペーストにしても飲み込みにくいです。

離乳中期(7〜8か月)

ぬめりがあり、口のなかで滑りやすいので、赤ちゃんが舌でつぶして食べるのは難しいかもしれません。やわらかく煮てすりつぶし、お湯などでのばしましょう。
すりつぶしたさといものねばり、とろみは、お肉などの飲み込みづらいものをまとめ、喉の奥へ運びやすくしてくれます。
おすすめメニューはポタージュ。さといもと玉ねぎを煮てつぶし、育児用ミルクと合わせます。大人用は牛乳でのばして、家族で一緒のメニューに。甘く滋味深い味わいです。

離乳後期・完了期(9〜18か月)

煮っころがしや豚汁を作ったら、赤ちゃん用にさといもを少し取り分けて茹でこぼし、塩抜きしてあげましょう。ぬめりがありつるっと飲み込んでしまうことがあるので、喉に詰まらないよう1cm大くらいに切ります。
ほかにも、やわらかく蒸すか茹でて熱いうちにつぶし、とろけるチーズをまぜて手で小判型に丸めると、手づかみで食べられるさといもチーズのできあがり。大人には、衣をつけて揚げコロッケにしても。

まとめ

注意点としては、食べたあと、口のまわりが痒くなることがあります。気になるようでしたら、食前にワセリンを塗っておくとよいでしょう。
さといもはねばねばがあり、離乳食としては食べにくさもあるのですが、そのねばりで食べ物をまとめやすく、飲み込みの練習がしやすいところがおすすめポイントです。飲み込みにくいお肉などをさといもと合わせると飲み込みやすくなります。


離乳食用の皮むきも兼ねられる、私の好きな食べかたをひとつ。

皮つきのままグリルに入れて、30分くらいほったらかし焼きに。
そのまま食卓に出し、ゆで卵のような感覚で皮を剥き、塩をふって食べます。
ほんのり甘くホッとする味わいです。2歳ぐらいからは、切ってあげればお子さんも一緒に楽しめますよ。

 

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取り助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードの開発をしている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?