vol.25

子どもの頃、焼きいも屋さんの声が聞こえると「おかあさん! 焼きいも食べたい!」とよくねだりました。
お金をもらって外に飛び出し、焼きいも屋さんを探すワクワク感と、やっと買えたときに込み上げてくる嬉しさは忘れられません。あの気持ち、息子にも味わわせてあげたいな。

ほっくり甘いさつまいも。子どもも食べやすい味わいで、離乳食におすすめのお野菜です。
また、離乳期のご相談に多い、便秘の解消にも役立ちます。
さつまいもに含まれる食物繊維は「便のかたちをつくる」ことが得意で、便のかさを増やし、出しやすくしてくれます。

一緒にチェック
こどもと食のお話いろいろ
おやさいといっしょ

離乳初期

やわらかく加熱し、うらごししたさつまいもが食べられます。
そのままお湯で伸ばすだけでも、自然な甘さで十分おいしいですが、くだものと合わせるのもおすすめ。くだものの酸味が苦手なお子さんも、さつまいもの甘味で酸味が和らぎ、食べやすくなりますよ。

離乳中期

やわらかく煮て、小さく刻んださつまいもが食べられます。
やわらかく煮たにんじんとさつまいもをヨーグルトで和えて、サラダ風に。にんじんやくだものに含まれるペクチンは「便をやわらかくする」性質の食物繊維なので、さつまいもと組み合わせて摂るとよいです。また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内環境を整えてくれます。

離乳後期~完了期

ほくっとやわらかくなるまで火を通し、かじり食べの練習に。
1cmくらいの厚みに切り、バターでじっくり焼いてから、めんつゆやだししょうゆをさっと絡めるととても美味しいです。ブロッコリーや青菜を一緒に炒めるのもいいですね。
ちなみに、便秘には適度な油の摂取も効果的です。一般的には液状の油を指しますが、このメニューには断然バターが合います!

さつまいもと便秘について

食物繊維が豊富なイメージのあるさつまいも。お子さんの便秘にお悩みの場合、すでに食事に取り入れている方も多いと思います。
しかし、さつまいもばかりに偏ると、便が固くなりすぎてしまうことがあるのです。
食物繊維にはさまざまな種類があり、それぞれ得意なことは異なります。バランスよく取り入れることが大切。さつまいもだけでなく、いろいろな食材から摂取するようにしてみましょう。

さつまいもに含まれる食物繊維が「便のかたちをつくる」という性質をもつのに対し、「便をやわらかくする」という性質をもった食物繊維があります。離乳食に取り入れやすい食材では、くだものやにんじん、押し麦、オクラをはじめとするねばねば野菜、海藻などにも多く含まれています。
また、さつまいもと同じく、食物繊維が多いイメージのあるごぼうは、これら両方の特徴をもった食物繊維を多く含んでいます。
便の回数が少ない・便が固いなどでお悩みの場合には、いろいろな食材から食物繊維を摂ることを意識してみてくださいね。

 

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取
助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードを考えている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?