vol.24

母の手料理で、記憶に残っているのは「しろ菜とお揚げの炊いたん」です。
母や父が好きだったのか、手軽だったのか、かなりの頻度で食卓に登場していました━━苦手だったから、記憶に残っているだけかもしれません━━。私はしろ菜をなかなか噛みきれず、いつまでも口の中に残ってしまい、こっそり吐き出して捨ててしまったこともありました。

ほうれん草や小松菜、しろ菜など、青菜を嫌がるお子さんは多いです。これはまだ咀嚼力が弱く、しっかり噛めないのが理由であることも。青菜はカルシウムや鉄などのミネラル類を豊富に含んだお野菜なので、食べやすい工夫を考えたいですね。

離乳初期・中期

はじめての青菜におすすめなのは、葉がやわらかいほうれん草。
葉先だけをすりつぶすのは手間がかかりますが、茹でてやわらかくしたじゃがいもや玉ねぎなどと一緒につぶすと簡単にできます。ほかのお野菜や食材とあわせることで、食べやすい味わいになりますよ。

離乳後期・完了期

小松菜など、火を通してやわらかくした青菜の葉や茎のあらみじんを食べられます。
嚙みきれないと舌に残ってしまい、飲み込めずにオエッとなってしまうことがあります。とろみをつけたお料理に入れたり、細かく刻んでごはんに混ぜたりすると食べやすくなります。

幼児期

咀嚼力が発達していく時期で、それまで食べられていたものでも、味の感じ方が変わって苦手になってしまうことがあります。青菜は苦味を感じることもあり、急に食べられなくなった……というお子さんは多いです。
カレーやグラタンなど、好きな味のお料理に少し混ぜてみましょう。「食べられた!」という成功体験を少しずつ積み重ねていくと、苦手を克服できるかもしれません。

ちなみに、私は今、しろ菜が大好きです。嫌いだったあの頃に比べて大きくなったあごには、しろ菜の美味しさを味わう筋力が備わっているのだと思います。そんなふうに、成長につれ「嫌い」が「好き」に変わっていくことも多いので、気長に様子をみてみてくださいね。

 

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取
助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードを考えている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?