ポルトガルのワイン生産者〈キンタ・ドス・ロケス〉のルイス・ローレンソさん、ジョゼ・ローレンソさん親子をお招きしたワイン勉強会。彼らのワイナリーがあるポルトガル・ダン地方のこと、ぶどうの栽培やワインの醸造のことなど、たっぷりとお話を聞かせてもらいました。
お話のあとは、ワインの試飲会。まかないスタッフが用意してくれた料理とともにワインを味わい、おいしいマリアージュを体験しました。

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ポルトガルワインを知る・ルイスさんのお話

この日はキンタ・ドス・ロケスと、彼らが営むもう一つのワイナリー、キンタ・ダス・マイアスのワイン5種類を試飲。どんなぶどう品種から、どんなワインに仕上げられているのか、それぞれの個性を、ルイスさん、ジョゼさんから教えていただきながら味わいます。

そして、お料理との組み合わせも奥深いもの。ワインが料理の味を打ち消してもいけないし、料理がワインの邪魔をしてもいけない、お互いのバランスが大切なのだそうです。

ワインの試飲では、白から赤へ、軽いものから重いものへと飲みすすめていきます。
それぞれのワインの味の特徴、お料理との組み合わせを、ジョゼさんからのコメントと一緒にお楽しみください。


マイアス・ホワイト(白ワイン)× きのことれんこんのグリル

ポルトガル・ダン地方の白ワインは伝統的に数多くのブドウ品種をブレンドして造られます。代表的な白ぶどう品種「エンクルザード」をベースに造られたワインはしっかり骨格のある味わいが特徴。
一方、マイアス・ホワイトは、「マルヴァジア・フィナ」というぶどうをメインに使うことで、白い花のようなエレガントな香りのある、フレッシュで軽やかなワインに。ほかにも複数のぶどうがブレンドしてあり、アロマや酸、ほのかな柑橘味を感じます。

合わせたお料理は、きのことれんこんのグリル。塩とオリーブオイルで味付けをして焼いたハタケシメジや原木しいたけ、れんこんに、旬のすだちを搾っていただきました。

「すだちの酸がとても良い。きのこの土っぽさがワインの味に少しぶつかるところを、さわやかな酸味が補い、バランスのとれた味の合わせ方になっている」と、ジョゼさん。
たしかに、すだちをきゅっと搾ることで、このワインとの相性がよくなるのを感じました。

マイアス・ロゼ(ロゼワイン)× 厚揚げのエスカベッシュ(南蛮漬け)

フレッシュな果実味のある「ジャエン」、酸がしっかり利く「ティンタ・ロリス」というぶどうから造られたロゼワインです。2種類のぶどうのバランスがとれていて、どんなお料理にも合わせやすい味わい。オリーブオイルベースのパスタやピザなんかが、とくによく合うそうです。

ポルトガルでよく食べられるエスカベッシュ(南蛮漬け)を、厚揚げ、トマト、ピーマン、玉ねぎなどの具材でつくりました。ビネガーとオリーブオイルの風味が重なった、まろやかな味わいです。

「厚揚げの食感、酸味のあるフレッシュなソース、トマトの甘みやこしょうの辛み、全てのバランスが抜群のお料理。味に骨格のあるこのロゼととてもよく合います。軽いタイプの赤ワインも、このエスカベッシュに合いそうです」
ジョゼさんは、このお料理をとても気に入ってくれたようす。ルイスさんは、4日間漬け込んで味をよくしみ込ませたエスカベッシュが大好物なんだとか。

エンクルザード(白ワイン)× たらとじゃがいものコロッケ

ポルトガル原産の白ぶどう、「エンクルザード」のみで造られた白ワイン。今回試飲したのは、半分を木樽、もう半分をステンレスタンクで熟成し、ブレンドしたもの。木樽では熟成感のある複雑なフレーバーを、ステンレスタンクでは白ぶどうのフレッシュさや柑橘のような果実味、酸味を引き出します。それぞれを使い分けることで、ぶどうが持つ個性が十分に表現されています。

ポルトガルの家庭でよく作られるという、たらのコロッケ。エンクルザードのワインにはたらのお料理が合うということで、まかないスタッフが用意してくれました。
たらの旨み、パセリの風味をまとったじゃがいもは、くせになるおいしさです。

「これはまさに現地の味で、とてもおいしい!」
「じゃがいものクリーミーさと食感、塩気のきいた味が、ワインのフレッシュな果実味や酸によく合う。コリアンダーの香りも、エンクルザードのフルーティーな味わいとぴったり」と、大絶賛のルイスさんとジョゼさん。
ポルトガルでは味付けも形もさまざまな、家々のレシピがあるそうです。ほかにも、いろいろなたらの料理をつくるそうですよ。

マイアス・レッド(赤ワイン)× さといもとケールのクリームチーズ和え

マイアス・ホワイト、マイアス・ロゼと同様、軽やかで親しみやすい味わいの赤ワインです。
ダン地方の伝統的な赤ワインはポルトガル原産の黒ぶどう「トウリガ・ナショナル」がベースで、タンニンやアロマをしっかりと感じるのに対し、マイアス・レッドは「ジャエン」と「アルフロシェイロ」という果実味のあるぶどう品種がベースの、エレガントでフレッシュな口あたり。「トウリガ・ナショナル」も少し合わせてあるので、花のような香り、辛口の余韻を楽しむことができます。
お野菜ベースのお料理にもよく合う赤ワイン。ほどよく冷やすことでタンニンがシャープになり、より飲みやすくなります。

合わせたお料理は、さといもとケールのクリームチーズ和え。ねっとりとしたさといもに、フレッシュなカーリーケールを加えて、軽やかな食べごたえに。さといものクリーミーな味わい、クリームチーズの酸味、クミンとにんにくの風味のバランスがよく、赤ワインにも、白ワインにも合わせられる一品です。

「クリーミーなさといもと、ワインのフレッシュな果実味がよく合いますね。このマイアス・レッドは、さきほどのエスカベッシュのソースにもよく合うと思います。ポルトガルでは、オイルサーディンに合わせたりもしますよ」
ジョゼさんの言う通りに、ほかのお料理とも好相性。お野菜にもよく合う赤ワインときいていたのがよく分かりました。

ダン・レッド(赤ワイン)× 鶏肉と焼き野菜の山椒醤油ソース

黒ぶどう品種「トウリガ・ナショナル」を50%使用したブレンドの赤ワイン。マイアス・レッドのあとに飲むと、より伝統的なスタイルの赤ワインであることが感じられます。
しっかりとした果実味があり、一口目はすっきり飲めても、二口目からはタンニンが口に残って渇きを感じるように。すなわち、お料理にはぴったり。食事がすすむワインです。

甘辛い照り焼きソースに、さわやかな山椒の風味が香る、鶏肉と焼き野菜の山椒醤油ソース。焼き鳥のような和の味わいですが、しっかり濃いめの赤ワインと相性抜群。お野菜は、赤万願寺とうがらし、リーキ、ししとうを使いました。

「このワインにはシャープなタンニンや酸があり、これらが塩気を探すので、濃い味のお料理によく合う。ばっちりの組み合わせです!」
来日中は、天ぷらや焼き魚など、日本食も楽しんだというルイスさんとジョゼさん。和風の味も好んでくださったようです。


全てのワインを試飲したあとも、食卓を囲んで会は盛り上がり、ポルトガルと日本の料理や文化のことから、ポルトガルでの有機野菜の広まりのこと、ぶどう栽培への気候変動の影響まで、さまざまな会話を交わしました。

ルイスさんの大好物、栗。ワインと一緒にぱくぱくと食べていらっしゃいました

食べて、飲んで、じっくり会話を楽しんで。これまで少し遠くの存在だったポルトガルのワインが、ぐんと身近に感じられるようになった一日でした。

今回ご紹介したワインのなかから、「エンクルザード(白ワイン)」と「ダン・レッド(赤ワイン)」の2本セットを坂ノ途中OnlineShopより期間限定でご注文いただけます。

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