雨の季節も、消えることのない、
しずかな情熱。
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月に一度、坂ノ途中の編集室のウェブマガジン「日和 びより」をお届けします。
お野菜をはじめ、わたしたちが取り扱うもののこと。生産者さんのこと。暮らしのこと。坂ノ途中のスタッフが今、どんなことを考えているのか。
そんなあれこれを、ありのままにみなさんにお伝えしていきます。
#手しごと、よもやま

和歌山県田辺市の山あいで梅を育てる、田辺印の会のみなさんのところへ行くときは、いつも、不思議な気もちになります。
熊野古道につづく濃い緑の山のなかに梅の畑があり、そこを生産者さんたちに案内していただく。
静かで、いきものの気配に満ちた空気が、とても神聖なものに感じられるからです。
田辺市は、全国でも有数の梅の産地のひとつです。
けれどここ数年で、梅の栽培が本当に難しくなってきました。
暑さで花芽ができなかったり、ミツバチがうまく活動してくれなかったり、せっかく実がなっても雹で傷がついたり。どれも、気候変動が影響しているといわれています。
昨年は、雹による被害が特に深刻でした。例年より小さかったり、深い傷があったり。
田辺印の会さんは、いつもびっくりするほどきれいな梅を出荷してくださっていたので、本当に厳しいんだな、と胸が痛くなりました。
同時に、きちんと説明して、お客さまにお届けしなくては、という思いが湧いてきました。
傷があっても、大きさにばらつきがあっても、あの神聖な空気のなかで生産者さんたちが心を込めて育ててくれた梅は、きっとおいしく仕上がりますから。
わたし自身も、毎年梅しごとをしています。
はじめてつくったのは梅シロップでした。
その次は、お酒が飲めないのに梅酒を仕込んでみたり。
梅干しもたくさん漬けています。
今ではもう、「好きだからやる」のはもちろんだけど、それを超えて、
この時季になったら絶対やる、みたいな、なんだか使命みたいなんです。
生産者さんたちが、あの山で梅をつくり続けているのを見て以来。
簡単に「今年はもういいかな?」なんて思わなくなっているんです。
それに、梅を漬けた瓶がずらりと並ぶようすや、ベランダで干した梅を見ているとやっぱり幸せ。
梅の季節を、今年もみなさんといっしょに楽しめたら、とてもうれしいです。
語り・高橋和子(はんそく担当)
#in my little kitchen

梅シロップを、かれこれ10年くらい、この季節に仕込んでいます。
カルダモンやシナモンといったスパイスを入れてみたり、中国茶を入れてみたり、パイナップルを入れてみたり。毎年組み合わせを変えてたのしんでいるから、毎年ちがう味わい。
シュワッとソーダ割りがさわやかでおいしいですが、わたしは豆乳割りも好きです。
梅シロップを豆乳で割ると、酸とたんぱく質が反応しあって、ヨーグルトみたいにとろりとした口あたりに。
この「梅ラッシー」、夏のカレーのおともにぴったりなんです。
「梅豆乳ラッシー」
レシピはこちら≫
文・武岡萌(レシピ/編集担当)
#いいもの、ひとつ

漫画『海街diary2 真昼の月』
著者 吉田秋生 出版元 小学館フラワーコミックス
4人姉妹の暮らしの中に、たびたび登場する梅。彼女たちの梅しごとを見て、わたしも興味を持ちました。実際にやってみると、いつになったらシロップが飲めるのか、梅干しは赤くなるのか、誰と梅酒で乾杯しようか……など、長い時間軸やストーリーを体内に埋め込むことになるのだと知りました。
文・日和編集チーム




