蒸し料理。それは、お野菜をシンプルに味わいたいときの、強い味方です。
手順は簡単だけれど、火加減は、蒸す時間は、これでいいのかな? もっとおいしく蒸すには? と少し不安になりながら蒸す日も。
第1回では、おいしいもの担当の大荒と川野が、坂ノ途中の蒸し料理上級者たちに教わったことを実際に試しながら、蒸し料理の基本をひとつずつおさらいしていきます。

今回のテーマは「蒸し料理」

大荒

このまえ、友だちの家で手づくりの焼売を食べさせてもらったんだけど、それがすごくおいしくて。蒸したてってこんなにふっくらジューシーなんだ! って、衝撃を受けたんだよね。

自分でも蒸し料理をしたくなって、せいろや蒸しかごを買ってみたんだけど、使いこなせているかというと自信がなくて……正しい蒸し方をちゃんと知りたい!

川野

わたしは、野菜をシンプルに味わいたいときに、さっと蒸すことが多いかな。気分に合わせてつけだれをつくったり、塩とごま油だけかけたり。おいしいんだけど、火が強すぎるのか、たまに葉物がくたくたになっちゃう。逆に、途中で蓋を開けてしまうせいか、根菜は中まで火が通っていないこともあって。どんな野菜も、いつも上手に蒸せるようになりたいな。

大荒・川野

今回は、実際にお野菜を蒸しながら基本をおさらいして、蒸し料理の偏差値を上げていきたいと思います!

蒸し料理の基本

蒸し料理は、蒸気によって食材に間接的に火を通す調理法。おいしく蒸すためには「蒸気をしっかり立てること」と、「蒸気をうまく食材に当てること」が大切です。

まずは、しっかり蒸気を立てる

蒸しはじめる前に、鍋でお湯をしっかり沸かして、十分な蒸気を立てます。
水を入れる量は、鍋の7~8分目くらいが目安。蒸している途中でお湯がなくなると、空焚きになって鍋やせいろを傷める原因になるので、たっぷりと入れるのがポイント。

弱火でじわじわ温めるのではなく、強火で一気に沸かして、蒸気を勢いよく出しておきます。

蒸す時間が長いときは、途中でお湯の量を確認して、減ってきたら熱いお湯を足します。水を足すと温度が下がってしまうので、お湯を入れるようにします。

蒸し布を敷いて、食材をのせる

■蒸し布を敷く

蒸し器の底に、蒸し布やシートを敷いておくと、食材がくっつきにくくなり、取り出すときも形がくずれません。

*特にせいろは、木や竹でできているので、基本的に洗剤では洗いません。肉や魚の脂、においの強いものを蒸すときも、一枚敷いておけば、せいろが汚れにくく、においも移りにくくなります

敷くものは、さらしの蒸し布やクッキングシート以外にもいろいろあります。料理に合わせて使い分けると、仕上がりも後片づけもぐっとラクに。

■食材をのせる

食材を蒸し器に入れるときは、ついつい、あれもこれも、と詰め込みたくなります。でも、ぎゅうぎゅうに詰めてしまうと、蒸し器の中で蒸気がうまく回らず、食材によって熱の入り具合にムラができる原因に。少し余裕を持たせて、蒸気が食材の間を通れるようにするのがポイントです。

大荒

蒸気の通り道をつくってあげる、みたいな感じだね。これくらいかな?

川野

わたし、けっこう詰め込んじゃってたかも……

 

■蓋の裏の水滴を、食材に落としたくないときは

蒸していると、蓋の裏に蒸気の水滴がつきます。ごはんや蒸しパンなどは、水滴がぽたぽた落ちると、水っぽくなってしまうことも。

蓋にふきんを巻いておくと、水滴を吸ってくれるので、食材に水滴が落ちにくくなります。特にステンレス製の蒸し器は水滴が落ちやすいので、このふきんが大活躍。ふきんは軽く濡らしてから固く絞って使うと、より水滴を吸ってくれます。ふきんの代わりに手ぬぐいを巻いても。

*ふきんの端が火に触れないよう、蓋の上でしっかりくくるなどして、火のそばに垂れないように注意します

火加減は、一定に

■火加減

蒸気がしっかりと出るように、基本的には、強めの中火~強火で蒸していきます。

ただし、卵を使う茶碗蒸しやプリンなどは、強火で加熱すると「す」と呼ばれる細かな穴が入りやすくなるので、弱火でじっくり蒸すのがポイントです。

■できるだけ、蓋を開けない

蒸している途中は、ちゃんと火が通っているか気になって、ついつい蓋を開けたくなります。ただ、蓋を開けると蒸気が逃げて、蒸し器の中の温度が下がってしまうので、ここはぐっと我慢。蓋を開けずに、蒸し器と食材とタイマーを信じましょう。

大荒

もし途中で蓋を開けた場合は、もう一度蓋をしてからゆっくり10秒数えれば、下がってしまった温度がもとに戻るんだって!

蒸し上がって蓋を開けるときは、熱い蒸気がかかることがあるので、蓋を奥側に一度傾けて、自分とは反対側に蒸気を逃がしてから、ゆっくりと開けます。

大荒

わあ、おいしそうに蒸せてる!

川野

コマツナはシャキっとしてるし、さつまいももちゃんと火が通ってるね。

 

川野

やっぱり、途中で蓋を何度も開けるのがよくなかったんだ……! ゆっくり10秒数えればリセットされる、っていうのは知らなかった(笑)

大荒

わたしも、蒸しパンをつくったらびしょびしょになって、なにがだめだったんだろうと気になってたんだけど、蓋にふきんを巻けばよかったんだ!

川野

基本がわかったところで、こんどは、食材によって、いちばんおいしい蒸し加減が気になってきた。

大荒

うんうん。あとは、せいろとか蒸しかごとか、道具ごとの使い方や特徴も知りたいな。少しずつ、自分の中の「蒸しの哲学」みたいなものをつくっていきたいね。

二人の蒸し料理の偏差値:★★☆☆☆

——次回も、蒸し料理の偏差値をさらに上げるべく、二人で寄り道したいと思います。

寄り道をするスタッフ

坂ノ途中おいしいもの担当 大荒里菜

おいしいもの担当
大荒 里菜(おおあれ・りな)

大豆製品や、卵・乳製品など畜産加工品を担当。徳島県在住でヤギを4頭飼っている。豆が食べたいなと思ったら、さっと豆を炊ける人になるのが最近の目標。

坂ノ途中おいしいもの担当 川野萌果

おいしいもの担当
川野 萌果(かわの・もえか)

ごはんのおともやお酒の担当。学生時代に醸造を学び、利き酒師の資格も持つ。おむすびの具材は何がいちばんか、あれこれ試すのが日々のたのしみ。

ごはんの寄り道話(ばなし)とは

仕事の合間や、まかないを食べるとき、会社からの帰り道。気づけばいつもごはんの話をしている、坂ノ途中のおいしいもの担当のオオアレと川野。おしゃべりがあっちこっちへ寄り道しながら、いつの間にか、もうちょっと知りたい、に変わっていきます。
この連載は、そんな二人が日々のごはんについて気になったことを持ち寄って、詳しい人に聞いたり、自分たちで試してみながら、少しずつ、料理の経験値を増やしていく読みものです。

(おしまい)