中国の内陸部、雲南のコーヒーの特徴は、なんといってもその独特な香り。実はこの個性は、ある偶然から生まれました。

※今月のコーヒーのお話 vol.3(2021年1月)より

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海ノ向こうコーヒー
熟した桃のような甘さと、果実酒のような芳醇な香り「雲南の桃源郷コーヒー」
972円 (税込)

なかなか出会えない珍しいコーヒー

「雲南の桃源郷コーヒー」は、中国の内陸部、ミャンマーとの国境近くに位置する雲南省 プーアルからやってきたコーヒーです。

中国は人口の9 割を漢民族が占めていますが、雲南省プーアル市には、さまざまな少数民族が暮らしています。豊かな自然が残るこの地域はお茶の産地として有名ですが、中国最大のコーヒー産地でもあります。実に国内生産量の9 割以上がプーアル産。新しい産地として、世界からの注目度が高まっています。

そのなかで海ノ向こうコーヒーがお届けするのは、標高1800m~2000m という高い場所で育った希少なものです。山の中にはすももや桜、お茶なども植えられていて、花の季節には、桃源郷のような美しい景色が広がります。

雲南のコーヒーの特徴は、ブランデーのような芳醇で個性的な香味。独自の発酵プロセスによって生まれる独特の香りに、やみつきになる方も多いです。焙煎度は浅めで、苦味は少なく「お茶のように軽やか」と言われることもしばしば。これまでのコーヒーのイメージが覆されるかもしれません。和菓子との相性が良いのも面白いところです。

偶然から生まれた個性的な味わい


コーヒーへのあくなき情熱でさまざまな挑戦をするソウさん

現地でコーヒーの品質を管理するのは、台湾から技術者として雲南にやってきたソウさん。ソウさんはコーヒー研究家と言っても過言ではないような人。いろいろな品種を育ててみたり、精製方法を変えてみたり、1年で70パターンもの実験を繰り返し、美味しいコーヒーづくりに励んでいます。
ある日、農家さんが持ってきた豆を普段通りに精製してみたところ、いつもと違う、とても個性的な味わいのコーヒーに仕上がったそうです。「なぜだろう?」と調べてみると、その農家さんが収穫した豆をその日のうちにソウさんのもとへ持ちこまず、山の上に一晩放置してから持ってきていたことが分かりました。本来なら収穫してすぐにソウさんのところに持ってきて、果肉除去をするのがルール。この農家さんは少しサボってしまったのです。

でも、ソウさんは思いました。
「収穫後に一定時間熟成させると、あんなふうに面白いコーヒーができるのではないか」

そこから工夫をかさね、低温、密封状態で発酵させ、ほどよく熟成させる方法を編み出します。そうしてできたのが今回のコーヒーです。
コーヒーへのあくなき情熱でさまざまな挑戦をするソウさん。毎年コーヒーの味が変わってしまったらどうしようという心配もしつつ……安定供給と新しい取り組みをバランスよく続けてもらえたらと思っています。

地球温暖化による気候変動で収穫量の減少やコーヒー栽培に適した土地が減ることも懸念されるなか、雲南は新しいコーヒー産地として注目されています。国際規格に沿った安定して均質なコーヒーも大切ですが、私たちはソウさんのような作り手の熱意が映し出されているような個性あるコーヒーを、お届けしていきたいと思っています。

焙煎士・なおさんより


焙煎度:中浅煎り
苦味:●○○○
酸味:●●○○
風味:ブランデー、桃シロップ

産地を旅するコーヒー定期便

美味しさや品質を重視するのはもちろんですが、環境や産地(地域コミュニティ)に配慮したコーヒー豆を取り扱っていることが伝わるよう、みなさまにお届けしたいストーリーを詰め込んだリーフレットも同封しています。「過去にどんなコーヒーがあったのか気になる」という声にお応えして、これまでの内容をご紹介していきます。これまで続けてくださっているみなさんも、こんなコーヒーがあったなと思い出していただけると嬉しいです。

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