冬のひくい太陽の光に包まれる、黄やオレンジ。柑橘がおいしい季節の始まり。青々しかった果実がだんだんと色づき、酸味が甘味にかわり、収穫のときを迎えている。はっさく、ネーブル、不知火、清見オレンジ、はるか、他にもいろいろな柑橘が、瀬戸内や九州のほうで、たわわに実っている。

 この季節の楽しみは、自分の手でつくる柑橘の保存食。わたしは、ゆっくりと完成に近づいていくようすを見ている時間がとても好き。完成したときには、うっとりと見てしまうくらい、愛着がある。

あまい、しょっぱい、柑橘の保存食の作り方。

●柑橘酵素シロップ
柑橘は皮のままいちょう切り。熱湯消毒した保存容器に、砂糖と柑橘を交互に重ね、最後が砂糖になるようにする。ときどき瓶のなかを手でかき混ぜながら、1~2週間寝かせたら完成。
*材料/お好みの柑橘マスコバド糖(柑橘の重量の1.1倍)

●塩レモン
レモンをくし切りに(早く仕上げたいときは、細かく刻む)。レモンの断面に塩をまぶし、熱湯消毒した保存容器に入れる。別に用意したレモン果汁を加え、最後に塩でふたをする。ときどき中身をまぜてなじませながら1~2週間寝かせ、レモン液がとろりとしてきたら完成。
*材料/レモンカンホアの塩(レモンの重量の10~15%)

 発酵・熟成させてできたシロップや塩レモンは、数か月のあいだ保存できて、ながく楽しむことができるのも嬉しい。わたしはお料理やドリンクにあれこれと使う。ちょっと加えるだけで、さわやかな酸味がほのかに広がり、味の変化を楽しめる。

 そうそう、はらだから教わったとっておきのレシピがある。塩レモン1片をお野菜たっぷりのポトフに入れる、だけ。今つくっている塩レモンが完成したら、ポトフつくろう。

●おいしいもの担当 もゆる