vol.23
子どもの頃、祖母と一緒におやつにバナナを食べることがありました。「今はいろいろなくだものが食べられていいねえ」そんな祖母のつぶやきを覚えています。
バナナは、栽培に適した地域では1年を通して収穫することができます。日本で流通しているバナナのほとんどは、輸入されたものです。
外国のくだものをよく食べるようになったのは祖母が大人になってからだったそう。子どもの頃にはなじみがなかったのかもしれません。
甘くて柔らかく、ヨーグルトや野菜とも味がなじみやすいバナナ。
離乳食にとても使いやすいくだものです。
離乳初期・中期
初期は加熱してペースト状にしたもの、中期は加熱してやわらかくし、あらみじん切りにしたものが食べられます。
離乳初期の後半、ヨーグルトが食べられるようになったら、合わせてスムージーのようにするのもおすすめです。
バナナと、小松菜などの葉野菜を電子レンジで加熱し、ヨーグルトと一緒にブレンダーでつぶせばできあがり。苦手なお野菜も、バナナの甘味と一緒に食べられるかも。
離乳後期・完了期
離乳後期ごろからは、薄く切ったものを食べることができます。
いつからバナナを生で食べられるかについては、はっきりした基準はありません。後期ごろに、まずは薄く切ったものを少しだけあげて、様子を見てみましょう。
バナナはエネルギー(カロリー)があり、野菜のようにビタミン・ミネラル・食物繊維も含むバランス食材なので、おやつに取り入れるのも良いです。
完了期のお子さんには、ソフトクッキーが簡単でおすすめですよ。
オートミールを牛乳でふやかし、つぶしたバナナ・きなこ・カッテージチーズを混ぜて焼いたらできあがり。きなこやチーズのタンパク質もとることができ、バナナだけを食べるより、さらにバランスが良くなります。
離乳期のお子さんは酸味や苦味に敏感です。お野菜をなかなか食べられないこともあります。そんなとき、バナナと野菜を和えるだけで食べやすくなるかもしれません━━大人にとっては少し奇妙に感じられる組み合わせかもしれませんが━━。
息子は、3歳になった今でも、バナナのためにごはんを頑張って食べるほどバナナが大好きです。
「食べられた!」という成功体験の手助けをしてくれるバナナ。そのまま食べるのはもちろん、スムージーやお菓子づくりなどに、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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今回の撮影では、息子はいつも以上に食べたくて仕方がない様子。「バナナボート!」と言って見せてみたりしたのですが、うずうず。撮影が終わるとすぐに「もう食べていい……?」とおねだりされました。
執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードを考えている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?