夏らしい太陽がじりじりと照りつける、7月の終わり。山口県周南市の山あいに暮らす〈fu do ku kan Bamboo〉の須田浩史さん・加弥子さんご夫妻を訪ねました。
坂ノ途中OnlineShopでも人気の「グルグルグリーンカレー」をつくり届けてくれているおふたり。2011年の東日本大震災をきっかけに、自然の恵みが豊かなこの地域へと関東から移住し、里山の遊休農地を活かした唐辛子の栽培や加工品づくり、キッチンカーでのお弁当販売など、農業と食にまつわる活動をされています。
須田さんの車に乗せてもらい、狭い山道を越えてたどり着いたのは、青く広々とした唐辛子畑。約50種類もの唐辛子が育てられています。
ちょうど畑では白い花が咲き、つやつやの青唐辛子が実りはじめるころ。
須田さんの後ろに付いて歩いていると、「これは韓国唐辛子、これはタイのプリッキーヌ。インドチリ、メキシコのハラペーニョ、ハワイのハバネロ……」というように、世界のあちこちの唐辛子が! まるで旅をしているようで、わくわくする畑です。
須田さんの畑では、不耕起栽培といって、土を耕さない農法を実践。資源を大切にするため、雑草対策となるビニールマルチは敷かず、刈った草を根元に敷いて土に還します。唐辛子の株間は広くとって、根をしっかりと張らせることで、木がたくましく育つように。
なかでも熱帯の国が原産の唐辛子は、この暑さのなかでもピンと元気なようです。
こちらは、グルグルグリーンカレーなどの加工品を製造している加工所。地域の自治会館を利用されています。
グルグルグリーンカレーがつくられているキッチンを、加弥子さんが案内してくれました。
畑で採れた青唐辛子に、地元産の玉ねぎや、香味野菜、スパイスをあわせ、加工します。そうしてできあがったカレーペーストを、それほど大きくない鍋で煮沸消毒した瓶に詰め、さらに脱気。すべて手作業で一つひとつ作られています。
わたしたちが訪れたのはちょうどお昼どき。「よかったらうちで食べていきますか?」と嬉しいお誘いをいただき、お昼をご一緒させてもらいました(とってもお腹が空いていたのです。ありがとうございます!)。
用意してくださったのは、グルグルグリーンカレーを使った「冷やしグリーンカレーそうめん」。そして小皿には、畑で採れた夏野菜と自家製のお味噌。
やさしい豆乳の風味に、ぴりっとスパイスが利いたグリーンカレーのつけだれと、みずみずしいお野菜。火照っていた体が、すうっと落ち着いていくのを感じました。
農作業、加工品づくりやレシピ考案、イベントへの出店、そして子育てと……いったいどうやって時間を作り出しているのだろう? と思うほど、里山で生き生きと、多才な取り組みをされているおふたり。
パワフルで、そして優しさのある笑顔に、なにより力をいただいたのでした。
「唐辛子で食卓に笑顔を作る」。
おふたりの想いは、青い唐辛子の香りとともに、食卓まで届いていることでしょう。
またゆっくりお会いできますように。ありがとうございました!
text/Moyuru Takeoka
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