Web担当 横浜美由紀
 
「イカリヤ」と聞くと、イカリヤ食堂やIKARIYA Petitなど、京都にお住まいの方ならすぐに「あの人気フレンチのお店」というイメージが湧くはず。
今回のおとなりさんは、そんなイカリヤさんの新しいお店として2018年1月にオープンしたコーヒーショップ、「IKARIYA COFFEE KYOTO」さん。
京都の繁華街、四条通りから1本南に進んだ綾小路麩屋町にあり、木で組まれた窓枠とドア、そして丸い看板が目印のお店です。
坂ノ途中のコーヒー豆やカスカラシロップを使用してくださっていますが、お客さんの反応は?そもそも、なぜ、フレンチ・ビストロのイメージが強いイカリヤグループさんが、焙煎機まである本格コーヒーのお店を?
そんな疑問を、店長の田原奈津美(以下、田原)さんに伺ってきました!
 

すべてが、小さい頃からの「好き」に繋がっている

横浜:オープン1周年、おめでとうございます。振り返ってみていかがですか?
田原:本当にあっという間でしたね。飲食業界もはじめてでしたし、店長として人を引っ張っていくのもはじめてで、必死に駆け抜けた1年でした。
横浜:田原さんは、どんなキャリアを経てIKARIYA COFFEE KYOTOの店長さんに?
田原:最初のお仕事はバッグデザイナーでした。小さい頃からものづくりが好きで、美術の専門学校に通ったあと、バッグ専門の会社に入ってデザイナーをしていました。でも働くうちに、まだまだ別にやりたいことがあると気付いて、次は結婚披露宴やイベントなどで司会を行うMCの仕事をしました。昔からラジオを聴くのが好きで、DJのように声で伝える仕事をしたいという思いがあったんです。
横浜:ふたつとも、今とは全然違うお仕事ですね! その後に、今のお仕事ですか?
田原:いえ、司会MCを3年ほどした後に、英語を使った仕事をしたいと思って、シンガポールに語学留学に行きました。そのとき、飛行機や空港でのワクワクした体験から、空港で働いてみたいと思って、日本に帰ってきてからは関西空港でグランドスタッフとして1年間働きました。その次が、今のお仕事ですね。
横浜:経歴がものすごく多様ですね(笑)。
田原:そうですね(笑)。でも自分の中ではすべて、小さい頃から好きだったことに繋がっているんです。

横浜:コーヒーも、昔から好きだったんですか?
田原:小さい頃は苦くて飲めなかったんですけど、母親がコーヒー好きで、毎日ハンドミルで豆を挽いてコーヒーを淹れるのを見ていました。そのときの香りや光景が好きでしたし、コーヒーはとても身近な存在でした。それが、今のお仕事に繋がっているような気がします。私は一生働いていたいので、お金のために働くのではなくて、楽しんで働きたい。いつかはコーヒーのお店を出したいと考えていて、それを人生の最後の夢にできたらいいなと思っています。

 

喫茶文化とカフェ文化の両方を取り入れる

横浜:そもそものお話になりますが、フレンチ・ビストロのイメージが強いイカリヤグループさんが、なぜコーヒー屋さんを出店されることになったんですか?
田原:コース料理の一番最後ってコーヒーを出すことが多いじゃないですか。うちのオーナーはコーヒー好きなのですが、その最後のコーヒーの味に納得がいかなかったそうなんです。いくら料理が美味しくても、コーヒーが不味かったらすべてが台無しになってしまう。コースの最後まで美味しいものをお出ししたい、という思いから、自家焙煎のお店を作って、そこで焙煎した豆を各店舗で使用しようという構想になったそうです。実際、今イカリヤグループの店舗でお出ししているコーヒーはすべて、うちで焙煎したものです。

カウンターには焙煎度の異なる各国の豆が並ぶ

横浜:なるほど、お店の外からも見える大きな焙煎機はそのためなんですね。ちなみにHPには「京都の喫茶文化をRE提案」とありますが、「カフェ」ではなく「喫茶」と表現されているのは何か理由がありますか?
田原:最近のおしゃれなカフェは、年配の方はちょっと入りにくい雰囲気があると思うんです。でも、うちの店では、いわゆるサードウェーブ的な浅煎りのコーヒーだけでなく、昔ながらの深煎りで苦味のあるコーヒーもご用意していますし、年配の男性がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるのも良いなと思っています。1回だけ来てインスタ映えして終わり、ではなくて、何度も来て思い思いにコーヒーを楽しんでいただけるような居心地の良さ、古い喫茶文化と新しいカフェ文化の、両方を楽しめるお店を作りたいですね。

お店は丸い看板と木枠のドアが目印

 

「カスカラって何ですか?」という質問が、会話のきっかけに

横浜:弊社のコーヒー豆とカスカラシロップ(*)を使っていただいていますが、実際に提供されてみていかがですか?
*カスカラシロップ=コーヒー果実から豆を抜き取った後の果皮と果肉を乾燥させた「カスカラ」を使用した坂ノ途中オリジナルのシロップ。
田原:カスカラシロップはアフォガートとしてバニラアイスにかけたり、カスカラチャイラテとしてスパイスと牛乳と混ぜてご提供していますが、カスカラ自体がまだ珍しいものなので、「カスカラって何ですか?」とお客さまに訊かれることがよくあります。それがコミュニケーションの良いきっかけになっていますね。カスカラチャイラテは今すごく人気で、「美味しくてすぐ飲み干しちゃった!」とお客さまから言われたこともあります。
横浜:そう言っていただけて嬉しいです。ミャンマーのコーヒー豆も先日ご購入いただきましたよね。
田原:はじめは「ミャンマーのコーヒー豆ってあるんや!」と驚きでした。これから提供をはじめますが、扱っているお店が少ないので、お客さんの反応が楽しみです。
 

変わらないところも大切にしつつ、進化を続けていきたい

横浜:オープンから1年が経ちましたが、これからどんなお店にしていきたいですか?
田原:変わらない、ということも大事だと思っています。常連さんがたくさんできたので、その方たちには変わらず居心地の良い空間を提供し続けたいです。オープンからの1年間は必死でしたが、最近やっと「もっとお客さまに喜んでもらえるにはどうしたら良いか」を考える基礎ができてきました。変わらないところも大切にしつつ、でも新しいことにも挑戦していって、お客さまから愛されるお店にしていきたいです。