インターン 内田 修次

マールカフェの店長・朝田さん

今回のおとなりさんは、河原町五条からほど近くにある、マールカフェさん。
ついつい素通りしてしまいそうなビルの8階にあるにも関わらず、お昼時はランチのお客さんでいっぱいになる人気のカフェ。
「100年先も続くカフェ」というコンセプトを掲げ、年中無休で営業をされています。
「100年先も続く農業を」を掲げる坂ノ途中と同じキーワード”100年”に込めた想いを、店長の朝田直輝(以下、朝田)さんに訊いてきました。

メーカーの営業からマールカフェの店長へ 

内田:まず朝田さんご自身についてのお話をお伺いしたいのですが

朝田:今は店長としてホールに立つことが多いのですが、勤めはじめはキッチンスタッフとして入りました。それまで料理の勉強とかは全然したことがなくて、福岡のメーカーで営業をしていたのですが、辞めて京都に帰ってきたタイミングでオーナーに誘われて。「これからカフェをつくるから、よかったら働いてみないか」って。お店の立ち上げに携わってみたいと思ったので、「じゃあぜひとも」ということで入りました。

内田:店長になられたのはいつですか?

朝田:2017年の11月頃ですね。それまではオーナーが店長も兼ねていました。僕は、店舗責任者兼フロアマネージャーとして、一番現場に立っていたので、「店長をやってみないか」という話になり、引き受けました。

内田:オーナーさんとは以前から知り合いだったんですか?

朝田:学生時代にアルバイトをしていた雀荘でお世話になっていたんです。当時は徹夜で麻雀をやったりしてました。誇れることではないですけど(笑)。でもそれが、今のオーナーとの関係に繋がっています。

コンセプト「100年先も続いていくカフェ」に込めた想い

内田:マールカフェさんは「100年続いていくカフェ」というコンセプトを掲げていらっしゃいますが、実は坂ノ途中も「100年先も続く農業」を目指していまして

朝田:あ、そういえばそうでしたね!うちと一緒やなって思った覚えがあります!

内田:ありがとうございます。マールカフェさんが「100年先」を目指してらっしゃる理由というのは?

朝田:単に「長く続けよう」じゃなくて、具体的にしっかりとした数字を掲げてみんなで団結してやっていこう、って感じですね。100年って、近そうで遠い数字じゃないですか。カフェという文化が日本にできてそんなに経ってないのもありますけど、100年続いてるカフェって僕の知ってる限りないので、それを目指しています。まだオープンして3年目なので、あと97年ですね。

内田:100年続けていくための取り組みってどんなことですか?

朝田:いまは模索段階で。ちょっと前までは、日々、目の前の営業だけに着手してきたので、100年先に向かっての具体的な何かっていうのは正直あまりなかったんです。でも、ようやく100年続いていくために、どうするべきかってのを考えはじめられるようになりました。まずは地域に根付くことがすごく大事じゃないかな、って思っているんです。流行り廃りではなくて、地元に愛されるようなお店にならないと、100年先は目指せない。常にここにあり続けて、周辺の方が当たり前のように使えるような場所でなければならないと思っています。

そこで地元に愛されるために、京都の企業である”坂ノ途中”さんから野菜を購入させていただいています。京都の企業さんと繋がってやっていくって、すごくローカルな感じがあっていいんじゃないかなと思っています。

内田:ありがとうございます。坂ノ途中が目指している”100年先も続く農業”は、”今”よりも少しだけ未来に目を向けられた方に支えられています。

ところで、坂ノ途中のお野菜を使ったメニューには、どんなものがありますか?

朝田:オーガニック野菜のバーニャカウダ、チーズフォンデュ、カレー。それと看板メニューのハンバーグプレートに添えているバーニャカウダのお野菜も。

うちがカフェじゃなくてレストランだったら、すべてオーガニック野菜にしてもいいと思うんです。素晴らしいものができると思うので。でもカフェである以上、メニューは高くても1000円。単品メニューが2000円とかになると、もうそれは、カフェではなくて、レストランになってしまう。だからすべてをオーガニック野菜でまかなうのはなかなか難しいんですよね。だから、「ここぞ」というところだけオーガニックのお野菜を使用しています。

左:オーガニック野菜のバーニャカウダ 右:人気のハンバーグプレート

居心地の良い空間を追い求める「空間提供業」

内田:マールカフェさんって、空間に注目されることが多いですよね。

朝田:そうですね。僕らも、空間提供業っていうふうに銘打ってるんです。すべては居心地のいい空間をつくるため。景色があったり、アンティークの家具があったり、接客があったり、食事もそのひとつとして考えています。

内田:景色が良くて、これほど落ち着いた雰囲気だと、回転率が悪くなってしまいそうですが……

朝田:僕らは回転率、ってのは設けていないんです。混雑時は2時間でご退席お願いします、とか書かれているお店もあると思うんですが、そういったものはないので、長い人で5時間くらい滞在されるお客さまもいらっしゃいます。長く居てもらえるってことは「僕らは間違ってないんだな」って目安にはなるんで、嬉しいです。

内田:いまはお客さんの絶えない人気のカフェだと思うのですが、ビルの8Fということで最初は見付けてもらうのが大変だったのでは?

朝田:そうですね、最初はなかなか見つけてもらえませんでした。看板を見ても「本当にこんなところにあるのかな」って。お客さまが1日に1組も来ない日もありました。それが、オープン翌年の3月〜4月頃、学生さんの春休みを機に、一気に4倍くらいに増えました。広告を出したわけでも雑誌で紹介されたわけでもないので明確なきっかけはよく分からないんですけど、インスタグラムとかで見かけた学生さんが春休みになって一気に来てくれたのかなと思います。最初は追いつかなくてお客さまにご迷惑をおかけすることもありましたが、今のオペレーションができるきっかけにもなりました。

マールカフェさんの店内。アンティークの家具が並び、ひとつとして同じ椅子は無い。

 

「100年先も続くカフェ」であるために

内田:これからどんな場所にしていかれたいですか?

朝田:地元を中心に、皆さんに愛されるようなお店にしていきたいですね。そのために常に変化を続けていくことになりますが、「100年先を目指す」という一番太い幹は変えずに、その周りの枝葉をちょっとずつ変えていくイメージ。なので、近々メニューを大幅に変えようか、っていう話もあるのですが、僕たちにとって、それは「100年先も続くカフェ」であるための手段でしかありません。

 

マールカフェ
TEL /075-365-5161
営業時間 / 11:30~24:00(L.O.23:30)
定休日 / 無
住所 /京都府京都市下京区西橋詰町762京栄中央ビル8F