気候や土壌と向き合い、環境に配慮して育てられたお米の定期宅配「田んぼと食卓むすぶお米」。
それぞれのお米の産地の景色やつくり手の想い、味わいをご紹介します。

びわ湖の水、美しい景色に囲まれて

滋賀県の中央部、びわ湖の東岸に位置する近江八幡市で、米、麦、大豆や野菜を栽培する、近江園田ふぁーむさん。湖岸から300メートルほどの、ひらけた平坦な土地にその田畑はあります。空がひろく感じられ、びわ湖の水を田んぼにいただくことができ、季節ごとの野鳥のすがたも見られる、自然豊かなところです。

1981年、園田耕一さんが一人ではじめた農園でしたが、「おいしいお米を届けたい」という想いがひろがり、少しずつ少しずつ、田んぼの面積も従業員の数も増えていきました。そして、2013年に「近江園田ふぁーむ」と名づけて法人化。160町もの土地を保有するまでになりましたが、想いは当初から変わらず、できるかぎり環境への負荷を抑え、人びとのよろこびにつながるような農業をと取り組んでいます。

今回お話を伺ったのは、2008年からここで栽培に携わっている佐々木さん。以前は精密機械の工場に勤めていたそうで、朝から晩まで工場のなかで過ごす毎日を送っていました。ものづくりに対する想いはあったものの、「太陽を浴び、雨を受け、四季を感じられる生き方をしたい」と次第に思うようになり、22歳のとき、園田さんの農園にたどり着きました。

見渡すかぎりの田んぼのなかで作業をしながら、ふとびわ湖のほうを見ると、湖岸沿いにサイクリングを楽しむひとの姿が目に映ります。そんなとき、自然のなかで仕事をしていることを実感し、気持ちも晴れますね、と佐々木さんは顔を明るくして話します。

中央で黄色い長靴を履いてらっしゃるのが園田耕一さん。後列の右から2人目が佐々木さん

 

豊かな土をつくる、循環のかたち

近江園田ふぁーむでは、「フードリサイクルエコ農法」と呼ぶ、独自の循環の仕組みを取り入れています。お米や野菜の卸し先である企業や学校、家庭から出る生ごみ・食べ残しの一次発酵されたものを回収し、さらに自社で米ぬかや大豆くずなどを配合して有機肥料に。それを農地の土づくりに活用し、育った作物をまたお客さんのもとへ届けるというものです。

フードロスコンポストと呼ばれるこの肥料。土に鋤き込むと、そこは多様な微生物の棲みかとなり、微生物のはたらきによって、作物に必要な栄養素が蓄えられます。田んぼでは、春、代掻き(しろかき)の前に土に鋤き込まれ、一年のお米づくりの元肥となります。

 

環境に配慮して育てる、滋賀県の新品種「きらみずき」

滋賀県が未来につなぐ新品種として改良を重ね、2024年度から本格的な栽培がはじまった「きらみずき」。佐々木さんたちは、その味わいを気に入り、滋賀県の新しいお米として知ってもらえたらと栽培をはじめました。

びわ湖の水質を守るため、滋賀県では他府県よりも厳しい「環境こだわり栽培」という基準を設けていますが、きらみずきの栽培にはさらに厳しい基準が定められています(※)。

現在、約100町、700枚の田んぼを管理している近江園田ふぁーむでは、必要最低限の除草剤には頼りながらも、田植えを終える6月頃から夏のあいだじゅう、田んぼの周りや畦の草刈りを人手で行い、お米の生長をサポートします。

「土に蓄えた栄養を、できるだけお米たちに届けたいんですね。草の気持ちもすごくわかるのですが、お米のぶんの栄養をとってしまわないように、手をかけてあげないといけない。本当は極力除草剤に頼りたくないという思いがあるので、技術面ではもっと探求していきたい」と、これからのお米づくりを見据えながら、毎年工夫を重ねています。

※「化学肥料や殺虫・殺菌剤(化学合成農薬)不使用栽培(ただし、除草剤は使用可能)」と「オーガニック栽培(有機JAS認証を受けたもの)」の2区分に限定して栽培すること。
滋賀県の環境こだわり栽培では、水稲における化学合成農薬使用回数の基準は7回(他府県の特別栽培農産物基準では14~18回程度)と定められています。
近江園田ふぁーむでは、化学合成農薬の成分回数を除草剤の2回に抑え、また化学合成肥料は使用せず、有機質の肥料のみで土づくりを行っています。

香りがよく、甘みがつづく

「作物は、想いをしっかり与えれば、そのぶん、しっかりと返してくれる」
佐々木さんがそう言うように、手塩にかけて育てたお米は、味わい豊かです。

粒が大きく、香りがよくて、すっきりとした甘みの余韻がつづく、近江園田ふぁーむさんのきらみずき。噛むほどに味わい深く、冷めてもおいしいのでお弁当やおむすびにもおすすめです。

お好きな食べ方を聞くと、だしの利いたおかずに、おいしい白ごはん。あっさりとした和食が一番ですね、と教えてくれました。滋賀名物の湖魚の佃煮や日野菜漬けも、ごはんのおともにぴったりだそうですよ。

 

近江園田ふぁーむさんの「もち麦」を白米に混ぜて

坂ノ途中OnlineShopでは、近江園田ふぁーむの「もち麦」も販売しています。ご一緒に召し上がってみてくださいね。

ショップロゴ
近江園田ふぁーむのきらみずき
・産地
滋賀県近江八幡市
・栽培基準
特別栽培農産物相当(化学合成農薬の成分使用回数、化学肥料由来の窒素成分量が栽培地域で慣行的に使用されている量の半分以下)
坂ノ途中の特別栽培についての考え方はこちら

 

季節とともに移りゆく色。
水や土、草花と生きもの。

にぎやかな田んぼの景色を一緒に育んでいきませんか。

おいしいお米を味わうことが田んぼとわたしたちの食卓をむすび、未来につづく農業や暮らしを考えるきっかけとなりますように。