ストーリーとともにコーヒーを厳選して毎月お届けする『【定期宅配】産地を旅するコーヒー2種セット』。
2026年8月は「まだまだある精製方法のはなし」をテーマにお届けします。

今回は、これまで定期便でお伝えしてきた精製方法の番外編。一般的なナチュラル、ウォッシュなどのほかにも、実はいろいろな方法があります。コーヒーの奥深さを、さらに覗いていきましょう。

お買いもの
産地を旅するコーヒー2種セット
1,080 円〜

インドネシア 霧と晴れ間のコーヒー

今回の産地は「スマトラ島の富士山」ことクリンチマウンテンの麓です。スマトラ島は年間を通じて雨が多く湿度が高いため、従来の果肉ごと乾燥させるナチュラルや、水洗いして乾燥させるウォッシュといった精製方法が適していません。そこで生まれたのが「スマトラ式」。半乾きの状態でパーチメントを脱穀し、生豆の状態で乾燥させることで、乾燥時間を劇的に短縮し、カビや腐敗のリスクを抑えます。特徴は、ハーブやアーシーさといった独特な風味。さらにこの地域では、ミネラル豊富な湧水での洗浄や、2時間ごとの攪拌による丁寧な乾燥が、まろやかで複雑な甘みを生み出しています。
生産者のALKO生産者組合は、2013年に結成された615世帯からなる小規模農家さんのグループ。自然保護や地域貢献活動を大切にしながら、近年は専門家を招き品質管理の強化にも力を注いでいます。品質と地域、両方を育てようとする組合の姿勢が、このコーヒーの味わいにも表れています。

■スタッフの豆知識

スマトラ式のコーヒーは生豆の状態でも個性的な見た目をしています。青みがかった深緑色の翡翠のような色合い、ジェリービーンズを思わせる丸みのある少し曲がった形、くっきりとしたセンターカットが特徴です。


焙煎度:中煎り
精製方法:スマトラ式
苦味:●◯◯◯◯
酸味:●●●◯◯
フレーバー:オレンジ、黒糖、パンダンリーフ
栽培:インタークロッピング、必要に応じて農薬の使用あり

■おいしい淹れ方

・コーヒー 20g (中細挽き)
・湯の温度 88℃ほど
・投入湯量 320ml
・ドリッパーはハリオV60を使用
蒸らし 0分00秒〜40ml注ぐ。粉全体が湿るくらい
1投目 0分30秒~計140mlまで注ぐ
2投目 1分00秒~計250mlまで注ぐ
3投目 1分30秒~計320mlまで注ぐ
完成 2分30秒くらい
Point
高めの温度のお湯で、時間をかけ過ぎないようにサッと抽出するイメージで。前半に湯量を多めに注ぎます。オレンジのような酸味を出しつつ、甘みも感じられるバランスの良い味に仕上げましょう。

ブラジル グッド(ト)ラックのコーヒー

今回の産地であるバイーア地方。コーヒー栽培に理想的な条件を持った土地ですが、収穫期の湿度が高く、雨が降ることもあり、乾燥時の品質管理が課題でした。そこで、収穫したチェリーをすぐにトラックに積み、約50km離れた乾燥した気候のカアチンガ地域まで24時間かけ輸送し、乾燥する方法が採られました。輸送の道中でコーヒーチェリーに自然と「発酵」の精製過程が付加されることになり、ブラジルのコーヒーには珍しい、クリーミーな質感とフルーティなフレーバーが生まれました。
「偶然の幸運がもたらしたコーヒー」という点に注目が集まりましたが、その背景には60軒以上の小規模農家さんの努力もあります。彼らは自前の加工施設を持たないため精製で付加価値を付けることが難しく、「コーヒーチェリーそのものの品質向上」に全力を注いできました。細やかな栽培管理や収穫タイミングの見極めといった、農家さん一人ひとりの地道な努力と情熱が、このコーヒーの確かな味わいを支えているのです。

■スタッフの豆知識

バイーア地方のコーヒーは「ブラジルらしからぬ味」と評価されることがしばしば。伝統的なブラジルのイメージ「ナッツ感・低い酸味」とは異なる「圧倒的なフルーティーさとクリーンさ」を持っています。


焙煎度:中深煎り
精製方法:ナチュラル
苦味:●●◯◯◯
酸味:●●●◯◯
フレーバー:アメリカンチェリー、黄桃、ローステッドココナッツ
栽培:栽培期間中、農薬、化学肥料を必要に応じて使用

■おいしい淹れ方

・コーヒー 20g (中細挽き)
・湯の温度 85℃ほど
・投入湯量 300ml
・ドリッパーはハリオV60を使用
蒸らし 0分00秒〜 40ml注ぐ。粉全体が湿るくらい
1投目 0分30秒~120mlまで注ぐ
2投目 1分00秒〜 200mlまで注ぐ
3投目 1分30秒〜 250mlまで注ぐ
4投目 2分00秒〜 300mlまで注ぐ
完成 2分40~50秒くらい
Point
過度な苦味や雑味を抑えるため、低めの温度のお湯を使用します。むらし後、前半の湯量を多めにして雑味の抽出を抑え、酸、甘、コクのバランスの取れた味に仕上げましょう。

■今月のひとこと:フィリピンでの精製ライフ

この定期便でコーヒーのいろいろな精製方法についてお伝えしてきました。ひとつの産地で複数の精製方法を採ることは、味わいの幅を広げるだけでなく、商品ラインナップを充実させてビジネスのチャンスを広げたり、気候変動のリスクを分散させたりと、良いことが沢山ありますね。近年のトレンドは、「発酵」の工程でさまざまな酵母を活用すること。ワインやシャンパン用の酵母が定番ですが、私はフィリピンで精製の仕事をしていた頃、その土地らしさを追求してみようと、現地のライスワイン造りに使う米由来の酵母を試してみました。収穫後のコーヒーチェリーの果肉を取り去り、酵母を混ぜ込むと数日後には甘い香りとともにぷくぷくと気泡が出現……その様子をワクワク見守りながら、発酵を止めるタイミングを逃すまいと真剣でした。丁寧に乾燥させて完成したコーヒーは、ミントや生姜を思わせるキレイな酸味を持つ、唯一無二の味わいでした。(焙煎士:岡田昌子)

 

産地を旅するコーヒー2種セット

「東南アジア・ラオスの森林減少の改善のために何かできないか?」という問いかけから始まった、海ノ向こうコーヒー。産地が抱える課題にも向き合いながら、農家さんと一緒にコーヒー豆の品質向上に取り組んでいます。
今では、産地はアジアから中南米、アフリカへと広がり、取り扱うコーヒー豆は100種類をこえました。個性的なストーリーを持った世界のコーヒーの中から、月替わりで2種類をえらび、自社で焙煎してお届けします。

▼月ごとに変わる、2種類のコーヒー「産地を旅するコーヒー2種セット[定期宅配]」の詳細はこちら
産地を旅するコーヒー2種セット定期宅配