こんにちは、海ノ向こうコーヒーで輸入・焙煎を担当している舛田菜緒です。

2021年、海ノ向こうコーヒーが扱う産地に新しく加わったネパール。

険しい山々に囲まれ、広い土地も整備された道路もないネパールの山間地域では、安定した収入を得ることが難しいという課題を抱えています。

大学生の時に1年間暮らした、大好きなネパールのために私にできることは何だろう。
考えた結果たどり着いたのが、コーヒー。
2017年にネパールの村でコーヒーを育てはじめてから、4年の月日をかけ、2021年から「ネパールのつぼみコーヒー(以下、つぼみコーヒー)」として販売を開始しました。
ある農家さんは、「私たちにとってコーヒーづくりは、まだつぼみのようなもの。これから花を咲かせるんだ」と話してくれました。
その想いが、つぼみコーヒー、つぼみプロジェクトという名前の由来です。
 

 

つぼみプロジェクトには、コーヒーを栽培する農家さん、海ノ向こうコーヒー以外にもたくさんの人がかかわっています。

コーヒーを加工・輸出してくれる現地のパートナー企業 Himalayan Luxuly Beans(以下、現地パートナー)、プロジェクトが円滑に進むようマネジメントしてくれているNPO法人 Colorbath(以下、Colorbath)、現地のNGO ARSOW-Nepal。
そして、ネパールのコーヒーを飲んでくださるみなさんがいて、初めて成り立っているプロジェクトです。

ネパールの農家さんに寄りそい、応援していきたい。
生まれたばかりのつぼみが花開くまでを、一緒になって見守ってほしいという思いをこめて。
今回は、2021年の活動をふり返りたいと思います。

【INDEX】
1.   初めてのコーヒー豆輸入(2021年1月)
2. オンラインセミナーの開催(2021年2月)
3. コーヒー栽培ハンドブック制作(2021年3月)
4. つぼみコーヒー販売開始(2021年5月)
5. 2回目のコーヒー豆輸入(2021年5月~9月)

1.  初めてのコーヒー豆輸入(2021年1月)

ネパールから届いたコーヒーの生豆。焙煎する前なので緑がかっています

2021年1月、ネパールのコーヒーが日本に届きました。

今回は、つぼみプロジェクト発足後、初めての輸出ということもあり、試験的に210kgを日本に空輸。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予約した航空便が複数回キャンセルされるなどのトラブルにあいながらも、無事に輸入することができました。

2. オンラインセミナーの開催(2021年2月)

オンラインセミナーで、生活用水や土壌を管理する上で森林を保全する大切さをレクチャーした様子

海ノ向こうコーヒーは、産地に足を運び、農家さんや現地パートナーと直接会うことを大切にしています。本来なら現地でコーヒー豆の品質評価や次シーズンの生産について相談したいところですが、新型コロナウイルスの影響でネパールに行くことはかないませんでした。かわりに行ったのが、オンラインセミナーです。ネパールの村は回線が不安定で、なんと3時間という長時間に及ぶセミナーになりましたが、やってよかったと思います。

特に印象的だったのは、私たちからコーヒー豆の品質についてフィードバックをしたところ、農家さんからたくさん質問が出てきたことです。

「枯れそうなコーヒーの木があるのだけど、どうしたら良い?」
「収穫したコーヒーは、どうやって保管したら良い?」
など、次から次へと質問が。

もっとおいしいコーヒーをつくりたい!という農家さんの熱意を感じ、私たちと同じ気持ちで取り組んでくれていることに、とても嬉しくなりました。

3. コーヒー栽培ハンドブック制作(2021年3月)

農家さん向けに制作したコーヒー栽培に関するハンドブック

プロジェクトに参加するネパールの農家さんのなかには、コーヒーの栽培にはじめて取り組む人がたくさんいます。

私が現地に行き、直接教えることができたら良いのですが、コロナ禍でネパールに行くことが難しい状況です。また、「コーヒー栽培ができるかぎり地域に根付いてほしい。そして、今後も続いていくような産業になってほしい」という思いがあり、ネパールの農家さんが自分たちだけでコーヒー栽培を学べる教材を作ることにしました。

ネパールの教育分野での活動実績もあるColorbathと共同で、苗の育て方から、畑のつくり方、木の手入れの仕方に特化した内容のコーヒー栽培ハンドブックを制作。難しい専門書ではなく、わかりやすく、気軽に読むことができる教材を目指して何度も校正も重ね、2021年2月末に英語版のハンドブックが完成しました(今後、現地語に翻訳される予定です)。

4. つぼみコーヒー販売開始(2021年5月)

つぼみコーヒーのパッケージ。箱に「ヒマラヤの景色」をイメージした色彩画を入れています

ネパールから届いたコーヒー豆を焙煎し、日本のみなさんにお届けするのが海ノ向こうコーヒーの役割です。

1月にはじめて届いたコーヒー豆の焙煎は、私が担当することに。嬉しい半面、緊張もしました。

いつも優しく包み込んでくれるネパールの国、ネパールの人たち。
そんな印象とマッチするような、甘くて、ほっこりする味わいをイメージして焙煎しました。

パッケージデザインに入れたのは、ヒマラヤの景色。
夜明けの、うっすらと日が差す瞬間のヒマラヤ山脈。私の大好きな景色です。
つぼみコーヒーを飲むときに、そのきれいな景色を想像し、少しでも産地に想いを馳せてもらえたら嬉しく思います。

5. 2回目のコーヒー豆輸入(2021年5月~9月)

ネパールで収穫した豆を梱包している様子

そうこうしているうちに、5月。
2回目のコーヒー豆の輸入の時期が来ました。

ネパールでは、前年12月~3月ごろに収穫期をむかえます。そこで、当初は4月~5月に精製・加工、6月頃には日本へ輸出するというスケジュールを立てていました。

今回は、2月に開催したオンラインセミナーを踏まえて、農家さんたちも一生懸命取り組んでくれました。順調にいけば、前年よりも品質は良くなっているはずだと期待も大きかったです。ですが、やはりそう簡単にはいきません。

ネパールでは6月頃から雨期に入り、湿度が高くなります。すると、コーヒーを保管する環境のコントロールが難しくなるため、その前に豆を日本に輸出させたいと思っていました。しかし、ネパールでも新型コロナウイルスが拡大してきたのです。ロックダウンによる地域間の往来制限から始まり、工場の稼働停止。外出すらできないという日々が続きました。

ようやく輸出できる状況になったのは、9月。
その頃、ネパールから日本行きの飛行機はほとんど飛んでおらず、予定されていたフライトも直前でキャンセルになるということもしばしば。

「今夜の便に乗せます」
現地パートナーから連絡が来たのは、なんとフライト当日でした!

「その日のことはその日に決まる。それがネパールですから!」
という、笑えない冗談を交えつつ、一目散に輸入の書類をそろえ、日本国内の関連会社にも連絡をして受け入れ体制を整えて、あとはコーヒーの到着を待つのみ。

翌日、成田空港にコーヒーが無事到着したときには心の底からほっとしました。

日本で待っていることしかできないことに、ずっともどかしさを感じていました。けれど、2回目の輸入を終えて、こういう状況だからこそ、みんなで力を合わせて、目の前の課題を少しずつ乗り越えていくしかないんだ、と思いました。

ここまで、2021年前半の活動を振り返ってみました。
2021年後半の活動とこれからのお話は、また次回。