「今の時期、朝は4時半起きです。畑で収穫作業をして、7時に一旦家に戻ります。子どもに朝ご飯を食べさせて保育園に送って、9時半から畑作業。お昼休憩挟んで5時くらいまで。それで子どもを迎えに行って、晩ご飯と家事をして、10時くらいに寝ます」
日々の暮らしって、どんなふうですかと訊ねると、はまちえ農園の安井千恵さんは、すらすらとそう答えた。
「疲れて休みたいって思うときもありますけど……でも、水やりを休むとあとで困る。生きものを育てているわけですから」
京都の街中で育った千恵さんが、将来は農家になろうと考えはじめたのは、インターンシップでドイツに滞在しているときだった。
「農業は自分が進むべき道だと思って、有機農業に強いオランダの大学で勉強しようと思ったんです。だけど学費がすごく高くて、まずはお金を貯めようと」
日本に帰ってきた千恵さんは、平日は仕事、土日は農業体験の日々を送る。夢はオランダ。でも──よくある話だけれど──予期せぬ出来事が待ち受けていた。
のちにご主人となる源太さんとの、そして京北(京都市北西部)という土地との出会い。結婚できひんかったらオランダ行こうと思っていたらしいけれど、無事? に結婚、農業研修で訪れていた京北という土地にも惹かれた。
「すごく相性がいい、そう感じたんです。ふたりで、もう、ここに根を生やして暮らそうって」
2015年に京都府の給付金の制度を利用して就農。2年間の研修を経て2017年10月にはまちえ農園をスタートさせた。


私は農家だよって感じですかと訊くと、千恵さんは頷いた。
「そうだと思います。まだ、わからないこともありますけど、でも、坂ノ途中さん用のベビーリーフなどの野菜の出荷量もかなり増えてきました」
思い描いた暮らしなのだろうか……千恵さんはこう答えた。
「農家の暮らしって、忙しくて、毎日やることがあって、前向きにしか考えられない、自分にちょうどいいのかなって思っています」