vol.9

赤ちゃんは離乳食を食べることでることでお口の動かしかたを習得していきます。だから口をしっかり動かせるように、お口の発達に合わせたごはんにすることが大切です。

それぞれの離乳期にあわせて、ごはんの内容や、赤ちゃんにどんな様子が見られるかなど、ポイントをまとめました。

離乳初期(生後5~6か月)

「お口を閉じてごっくん」することを練習する時期です。
「マーマー」と喃語を話しているかが、口が閉じられるようになっているかをみるひとつの目安です。
離乳食は1日1回でよいでしょう。

ごはんのポイント

おかゆやお野菜などは、とろっとなめらかな状態にします。ヨーグルトやポタージュのような。スプーンですくいあげると「ぽたぽた」と落ちるぐらい。
おかゆはすりつぶす、お野菜はやわらかく煮てミキサーにかけペースト状にしてからお湯で伸ばします。
おかゆやお野菜を食べることに慣れたら、白身のお魚や、卵の黄身を食べはじめます。お魚は焼くか茹でて細かくほぐし、卵は20分ぐらいしっかり茹でて黄身だけを取り出し細かくし、おかゆに混ぜます。離乳初期、中期は、塩分のとりすぎを防ぐため、味付けはお出しだけにしましょう。
お魚は、お刺身用に売られているものが鮮度に不安が少なく、おすすめです。

見守りポイント

お口が閉じた状態で、下唇が口のなかに巻き込まれるような動きが、きちんと飲み込めているサインです。
口のなかに入れたもののうまく奥に運べず、口から出てくることもあります。おかゆをのせるのはスプーンの先だけ、少量にすると、舌の先に食べものがきちんと乗り、喉へと運びやすくなります。

離乳中期(生後7~8か月)

「上あごと舌でつぶしてごっくん」することを学ぶ時期です。
「ダーダー」と喃語を話しているかが、上あごに舌を押し付けられるようになっているかを見るひとつのポイントです。
離乳食は1日2回、朝と晩に。

ごはんのポイント

お豆腐くらいの固さにします。指でつまむと簡単につぶれるくらい。
おかゆは、お米1に対してお水5で炊く「全がゆ」。炊いてから粗くつぶします。
全卵、赤身のお魚や、鶏のささみなどもはじめます。しっかり火を通してから、細かくほぐしましょう。味付けはお出しだけ。とろみをつけて、おかゆに混ぜると食べやすいです。

見守りポイント

口が左右に同時に伸びて、下唇がお口の中に入るような動きが見られます。このとき、舌と上あごで食べものをつぶしていますよ。その後「ごっくん」と飲み込みます。

食べものを異物と感じてしまうと、ぷーっと出すこともあります。おかゆであれば、離乳初期のなめらかなものと粗くつぶしたもの半々に混ぜたものからはじめ、徐々にかたちを残した状態にしていきましょう。
お肉は舌に残りやすいです。おかゆに混ぜたり、とろみをつけると飲み込みやすくなります。

離乳後期(生後9~11か月)

「歯ぐきでつぶしてごっくん」することを学ぶ時期です。
離乳食は1日3回、朝昼晩に食べさせるようにします。

ごはんのポイント

食べものはバナナくらいの固さにします。指でギュッとつまむとつぶれるくらい。
おかゆはつぶさずそのまま。軟飯(なんはん)も食べられるようになります。軟飯は、大人用に炊いた白飯を取り分け、ひたひたに水を足し、ラップをかけてレンジで5分加熱、そのまま5分ほど蒸らしてつくります。
アジ、サバ、イワシなどの背の青い魚、豚肉や牛肉の赤身の部分なども大丈夫です。もし、塩や醤油で味付けをするなら、大人用につくるときの半量ぐらいで、薄味にします。大人用につくった料理から取り分けても大丈夫です。取り分けてお湯にひたし塩抜き、油抜きをしましょう。

見守りポイント

口の片側だけがすぼまる動きが見られます。食べものを歯ぐきでつぶしている様子です。

食べものが固すぎるとそのまま飲み込もうとします。やわらかすぎると舌と上あごでつぶせてしまうので、この動きが見られません。口の動きを見ながら、固さを調節してくださいね。

離乳完了期(1歳~1歳半)

自分の手で食べる練習をしていく時期です。離乳完了期の終わり頃にはスプーンを使って食べられるようになる子も。大人が食べさせてあげる時期って短いですね。
離乳食は朝昼晩の1日3回、くわえて、捕食(おやつ)を2回食べます。

ごはんのポイント

食べものは肉団子や、市販のサラダチキン(どちらも塩抜きしたら食べてOKですよ)くらいの固さにします。指でギュッとつぶしたり、つまんだりするとだんだんつぶれていくくらい。
軟飯や、大人と同じ白飯が食べられるようになります。
噛み切りにくいものはまだ難しいですが、いろいろなものを食べられるように。大人と同じごはんを取り分けて、家族の食卓づくりをしていきたいですね。もちろん味付けは控えめに。唐辛子などの刺激の強いものは避けます。つくりながら取り分けて、最後に大人用の味付けをしても良いです。
3度の食事を基本に、おやつは食事だけで足りない栄養を補えるものにします。あまり離乳食を食べないようなら、バナナやお芋などの甘くて食べやすいものと、牛乳をコップに半分くらいが目安。おにぎりもおすすめです。

見守りポイント

自分で食べる意志がより強くなってきます。手づかみをしようとするときは、見守ってあげましょう。
まだ上手に食べられないので散らかります。つくって少し冷ましたお焼きやホットケーキ、大きめに、薄く切った野菜など、手で持てるようなメニューを用意すると少し気持ちも楽かもしれません……。
大変ですが、食事への意欲があるということ、自分で食べるための大事なステップだと思って。大人の気持ちのゆとりも大切です。きっと上手に食べられるようになりますよ。

まとめ

離乳食は口と消化器官の発達に合わせて進めていきます。上手に食べられたら笑顔で褒めてあげて。成功体験をたくさん作ることで、「食べることは楽しい!」と感じてもらうことができます。
そのためにも、お子さんが一所懸命にお口を動かしている様子を見てあげる。そして、赤ちゃんが食べかたを習得するためのお手本となるよう、離乳食を食べさせるときは、大人も一緒になって食べるところを見せてあげましょう。

 

 

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取り助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードの開発をしている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?