1年って早いものですね。12月が、毎年、あっという間にやってきます。
やまのあいだファームでは冬作、今シーズンは主に大根とルタバガを育てています。夏とちがって、畑の動きも落着いて、世話をすることも少なくなります。草刈りもめっきり減りました。

寒くて、野菜が時間をかけて育つ冬は、農閑期といわれます。閑、というわけではないのですが、この時季に、僕らは圃場や道具の手入れ、資材の整備に片付け、事務仕事といった、農繁期に手の回らなかった作業に手をとられます。
もちろん、農家さんのだれもがそうというわけではなく、ハウス栽培だから農閑期のない農家さんもいるし、それとは反対に、冬場はゆっくりと身体を休めて力を蓄えるという人もいるようです。

それぞれの地方には、むかしから農家さんに受け継がれた、農閑期のすごしかたがあるようです。たとえば、酒造りの盛んな土地へ出て杜氏として仕事をしたり、都市へ出て、建設現場などではたらく出稼ぎは、よく知られています。
豪雪地帯では、耕作はもちろん、移動もままならない暮らしのなかで、農家の人たちは家にこもり、手仕事に取り組みました。そこから、伝統工芸品がうまれ、地場産業となったこともある。できることがほかにない、そんな状況のなかでなされた努力が、独自の産業となって育っていくストーリーには驚かされます。
でも、調べていて、いちばんびっくりしたのが、漫才のルーツが、時代をうんと遡った平安時代の、農家の農閑期の仕事だったということ。
農家さん、農民というのは、農業だけでなくて工芸、建築、芸事と、まさに百の仕事をこなす百姓、マルチプレイヤーなのですね。

この冬は、僕もなにかはじめてみようかなと思います。漫才……はひとりじゃできないな……。

みなさま、2024年もよろしくお願いいたします。よいお年を。

●ケンゾー