空にむかって、ぐんぐんと伸びるように莢がつくから、空豆・そらまめ。
声にだしてもかわいいその豆は、おおきな分厚い莢を剥くと、ふかふかのベッドに仲良く横になってならんでいる。
初夏の畑をにぎわす豆たちのなかでも、圧倒的で、威厳を感じさせるたたずまい。
青空に映えて、日に日に大きくなっていく莢を眺めながら、名前負けしてないな、力強いなあ、と思っています。

そらまめは、古くからヒトの胃袋を満たしてきました。紀元前5000年の新石器時代には、すでに栽培されていたことが確認されています。
マメ科の植物なので、根には根粒菌が共生していて、そこから窒素が供給されるしくみ。やまのあいだファームのような、肥料成分が少ない畑でもしっかり育ってくれる、なかなかにえらいやつです。

けれども、こいつは実は同じ畑で育つのが苦手。連作を嫌がる(連作障害が出やすい)という、わがままな一面ももちあわせています。やまあいでは、畝を変えたり、後作にとうもろこしなど、ちがう科の作物を育てたりして、なんとか回避しています。
そして、アブラムシなどの虫がつきやすい。アブラムシは新芽が大好物なので、そらまめの背丈が整ったら、摘芯(てきしん・わき芽を発生させるために、苗の先端の芽を鋏などで摘み取る)をおこなったり、なかなかに手間のかかるところもあります。
花が咲いてから、食べごろになるまでに、だいたい50日。時間もかかります。

そろそろお手もとに、やまあいのそらまめもとどくころ。
僕がおすすめしたいのは、莢ごとグリルする蒸し焼きです。熱っ! 熱っ! といいながら莢をひらいて豆を取りだし、皮を剥いて粉チーズをちょこっとつけて食べます。豆の甘みにチーズがからんで、ビールもたまらなくおいしい。
もう、なにがなんでも試してみてください!

●ケンゾー