11月のおわりから、冬物の収穫がはじまります。
この時期、やまのあいだファームのある京都・亀岡のあたりは、毎日のように濃い霧が漂います。
やまあいに向う途中、京都市内を出たときは晴れていたのに、山を越えたとたん、乳白色の景色が広がる。山が世界の区切りをつくっているようです。
くっきりとした陽射しが好きなので、気分はいまいちなのですが、霧がでると野菜はおいしくなるそうです。

この冬は、大根、ルタバガ、カツオ菜、こぶ高菜を出荷する予定です。
去年もおなじようなラインナップだったのですが、大根とルタバガはともかく、カツオ菜とこぶ高菜は、種蒔きが遅れて大きく育たなかったり、収穫時期がよくわからないまま黄化してしまったりで、まったく収穫できませんでした。
今年は、いまのところ順調に育っているので、なんとか収穫に漕ぎつけられそうです。

冬に収穫をする野菜がある一方で、冬を越すものもあります。
たまねぎ、にんにく、ソラマメ、エンドウ……。
これらは9月から11月にかけて種蒔きをして、収穫は5月から6月。冬の長い時間を畑ですごします。
でも、収穫はほんの一瞬だったりするから、結構たいへんです。気が抜けない。
坂ノ途中の提携農家さんの、須美ファームの今掘淳二さんが、FM大阪の「Marché Coucou」というラジオ番組の坂ノ途中のコーナーに出演されたとき、「一瞬で旬がおわってしまう野菜があります。『旬』という字を『瞬』に変えたいくらい」と話していましたが、ソラマメなどはまさしくそう。
収穫はともかく、流通や販売の段取りをしっかりしておかないと、半年以上もかけて育ててきたのに……ということになりかねません。

畑仕事をはじめたころは、野菜を育てることばかりに気を取られていました。いい野菜を育てる、もちろん、それは大事なことなのですが、この頃は、いい野菜を育てて届ける、というところもしっかりと考えるようにしています。
ほんの少し、農家として成長したのかも、と思ったり……。

●まつい