夏がやってくるたび、『となりのトトロ』があたまに浮びます。メイちゃんが、おかあさんのお見舞にと、ひとりで、みんなに心配をかけて、両手で大切に抱えて歩いたトウモロコシのことも。

やまのあいだファームでも、トウモロコシの収穫時期を迎えています。
3か月前のダイアリーにも書きましたが、やはりここに来るまで、トウモロコシを育てることの難しさをうんと知らされました。
うまく発芽しなかったり、雄花と雌花の開花時期がずれて受粉のタイミングが合わなかったり、有機だから虫喰いが酷かったり──5週に時期をわけて種蒔きをしたので、うまくいったところもあるのですが──。

いちばん頭を悩ませたのは、収穫の時期のことです。
実が膨らんできて、いつ採ればいいのかと、触ってみたりするのですが、はじめてのことなので、どういう感触が食べごろなのかわかりません。
しかたがないので、毎朝、もぎっては食べ、もぎっては食べ、実がまだ小さいかな、色が薄いかなと、様子をうかがっていました。
トウモロコシがいちばんいい状態で収穫できるのは、3日間と言われています。でも、ほんとうにおいしいのは、ほんの一瞬のようです。
今日のトウモロコシは最高にうまい! そのときに収穫したいのですが、簡単ではありません。こればかりは、経験を積んでいくしかなさそうです。

最後の畝の収穫が残っていて、今朝、畑に行ったところ、獣除けに張っておいたネットが弛んでいるところがありました。少し前から、シカかアライグマかわからないけれど、畑が荒らされていたので、慌ててネットを張っておいたのですが、雑なやり方が失敗でした。かなりの数のトウモロコシを食べられてしまいました。
腹はたつし、悲しいし、ネットをしっかり張っておけばという後悔もあるけれど、どうしようもない。動物のほうがおいしい時をわかってる、今が食べごろだよ、と収穫時期を教えてくれたと思うことにします。

トウモロコシは少し残念な結果でおわりましたが、もう、冬の作付けの準備がはじまっています。なかなか頭がついていかないです。今年も、冬はダイコン、ルタバガ、珍しい野菜をいくつか考えています。
あ、その前に秋に採るキュウリの種蒔きをしました。『となりのトトロ』では、トトロとサツキとメイが、どんぐりの種の芽を出させるシーンがありますが、そんな苦労もなく、3日目にはほぼ芽が出ていました。
今は忙しくて、『となりのトトロ』も見られない、39歳の夏です。

p.s.先日、お客さまから、トウモロコシがおいしかったと感想をいただきました。はじめて育てる野菜は、不安だらけで、おいしいものを届けられているのか、すごく心配なのですが、そんなお声を聞くと、頑張ろうという気持が出てきます。ありがとうございました。

●まつい