今年もあとひと月ほど。やまのあいだファームでは、ダイコンやカブ、カーボロネロなどの冬野菜を栽培しています。先月は暖かい日もあって、どのお野菜もすくすくと成長していたけれど、近ごろは大きくなるのもゆっくりとしています。
我が家でもストーブに火を入れるようになり、車のタイヤも冬スタッドレスに交換しました。もう完全に冬モードです。

僕にとって冬というのは雪のことです。
生まれが北陸の富山県で、冬には当たり前のように雪が降り積もっていたので、京都にやってきて雪の少なさに驚きました。ここ、亀岡でもたまに雪は降るけれど、数日残るような積雪は体験していません。
子どもたちは雪は嬉しいようで、少し積もると庭に出て茶色い雪だるまをこしらえて喜んでいます。大人にとっては、車は渋滞するし、電車も止まったりしてなにかと不便なことが多いんだけど。

雪道といえば、富山には融雪装置を備えた道路があります。地下水をポンプで汲み上げて、路面の小さな穴から散水することで雪を溶かすしくみ。車にとっては、雪が溶けて路面があらわれるので運転しやすくなるのだけれど、歩行者にしてみると、半分溶けたバシャバシャの雪水が車に跳ね上げられてびしょ濡れになってしまうことがよくあります──僕の実家のあたりはかなりの田舎で車社会なので、子どもたちの通学のほかに、歩いている人はほとんど見かけませんが──。

子どもの頃は、融雪装置があるのは幹線道路だけでした。家の前や狭い道には除雪車が来ていました。
明け方、まだ暗いなか、ボォーという重機の音とシャンシャンシャンというタイヤチェーンの響きで目が覚めたものです。
除雪車は雪を道路脇に寄せていくだけなので、車庫の前は雪の壁。車を出せません。だから、朝はみんな家の前に出て雪かきをします。
ご近所さんとも、でかいと降ったねぇ(たくさん降ったね)と挨拶を交わします。
もちろん車の上にもこんもりと雪が積もっているので、家の前の雪かきのあとは、エンジンを暖気しながら、車の雪を降ろします。そして出発。

雪国では、冬のあいだはスノーブラシとスコップを車に積んでいます。
スコップは出かけた先での雪かきや、スタックしたときの脱出用。
ときどき、融雪装置のないところや、除雪車が入れないような道路で、スタックしている車に遭遇します。
そんなときは、たいてい近くの車から人が降りて、車を押したりします。困ったときはお互いさまという習慣ですね。
寒い地方の暖かいやりとり、亀岡では味わうことができないのが少し寂しいですね。

●ケンゾー

※写真はITチーム、片山大さんのもの。片山さんも雪の多いところの出身で、融雪装置もスコップも、あるあるのようでした。