農家の嫁になって2年が経ちました。あっという間だったような、そうでもないような……いつもバタバタしていますが、仲良く暮しています。

やまのあいだファームで農業をはじめたとき、畑仕事を暮らしの一部としよう、休日のない生活、苦労は買ってでもしようと心に決めました。そのおかげなのか、身に付いたことが農家の嫁として役立っているのかもしれません。
そしてこの2年、やまのあいだファームと、ときおり夫のお手伝いというふうに畑仕事をしていたのですが、少しかたちを変えることになりました。
私は農家の嫁として夫の畑を手伝いつつ、やまあいの不耕起栽培の畑は坂ノ途中から受け継いで、あかねファームとしてお世話をする。
今までと変らないといえばそうなのですが、あかねファームとすることで、夫や仲間と臨機応変に協力しやすくなると思っています。きちんと育てられそうなお野菜を選び、自家採種してきたものは細々とでもつづけていくつもりです。いつでも遊びに来てくださいね。

やまあいで働いた8年間、力不足で上手くいかないことばかりだったけれど、いろいろなことを学べました。
最初の数年間、肥料はほんの少ししか使いませんでした。そうすると土が痩せてゆき、野菜は育たなくなりました。収穫できてもイマイチ美味しくない。一生懸命お世話をしても元気に育たない。
実らないというのは精神的に辛いものです。
次は収穫を多くしようと、植える苗の量を増やすのですが、畑の面積が増えてしまって、草刈りなどが追いつかなくて自滅。施肥の量や方法を変えてみたり、畝の上に草を敷いたり、大きく育ったときは、どうか枯れないでくださいと祈るような気持ちでした。
獣害に悩まされたこともありました。網や柵を頑丈なものに変えて、鹿か、イノシシか、群れなのか、どんな癖を持っているのかと想像しながら、徹夜で見回りをする。姿を見せない獣との攻防戦を繰り返す日々は長くつづきました。

あかねファームとなる、やまあいの不耕起栽培畑は、今はまだ土が肥えているとはとてもいえません。
人の手で耕せば土壌改良の速度は上がるし、美味しいお野菜もたくさん穫れるのかもしれません。でも、ここでは機械の代わりに、植物の根や虫たちに耕すことをお願いしています。とても時間のかかることです。つづけたとしても、良い結果が生まれるという約束があるわけでもありません。
以前、通りかかったおじいさんが、自然農を30年やってきて、やっと土が良くなってきたと言っていました。
30年で少し……土が良くなったときには人生のタイムリミットが来ているかもしれません。それで報われるのかわからないけれど、でも、もう少し様子を見たいと思います。ここは私の大切な居場所だから。

見守り、力を与えてくれた坂ノ途中、これまで畑を訪れてくれた方、一緒に畑仕事をしてくれたみんな、応援してくださった多くの人たち、ほんとうにありがとうございました。
やまのあいだのダイアリーには、あかねファームだよりを綴る予定です。これからもよろしくお願いします。

あ、瀬戸内のみかん畑も引き継いでお届けすることになります。今年もみかんが育っています。お楽しみに。

●あかね