島根県雲南市の宮内舎さんから、冬季限定の「杵つき餅」の案内が届きました。私たちスタッフは毎年冬の楽しみにしているおもちです。
宮内舎の小倉健太郎さん・綾子さんに、おもちをつくり始めたきっかけや、おすすめの食べ方を教えてもらいました。
島根に伝わるもち米、ヤシロモチとミコトモチ
もち米の甘みと粘りを感じる「宮内舎の杵つき餅」。
宮内舎とその提携農家さんのもとでは、「ヤシロモチ」と「ミコトモチ」という2種類のもち米を育て、それらの特長を活かしながら、おもちをつくっているのだそうです。
さすが、美味しいものをよく知り、そして自分たちの手で商品づくりをしている宮内舎さん。素材の良さを充分に引き出しています。
ヤシロモチ
ヤシロモチというもち米は、ふたりがおもちをつくるきっかけとなったもの。島根に古くからある種ですが、背丈が長く倒れやすい、熟す時期が遅いなど栽培しづらいところがあり、今ではつくる人が少なくなっています。
宮内舎のある山間の大東町でも、ヤシロモチづくりがおわってしまうと知ったふたりは、この地域で60年に渡って栽培を続けてきたという長老の農家さんに「私たちが継がせてください」と話し、その種を育てはじめました。
山の源流水が一番に流れこむ宮内舎の田んぼで、真菰(まこも)の葉や米糠を肥料に、完熟までしっかり実らせ、そして刈り取ります。この田んぼに生息する生き物はとても多様で、絶滅危惧種のモリアオガエルや、草のうえに巣をつくるカヤネズミなんかもいるそうです。
刈り取った稲はハデ干し(竹や木でつくった「ハデ」に稲の束をかけて天日干しする作業)にしてから、脱穀、籾摺りをします。
ミコトモチ
こちらも島根県内で栽培されているもち米です。
ヤシロモチとくらべて、丈が短く収穫時期も早い品種で、提携農家さんと一緒に、農薬や化学肥料を使わない栽培方法でつくっています。
なめらかで粘りがあり、おもちづくりにはぴったり。
山の地下水で蒸しあげ、杵でついて、丸もちに
こうして実った2種類のもち米。山あいに湧く地下水を使って蒸し、杵でしっかりとついて、まるめて、丸もちにします。
米粒の色にやや黒味のあるヤシロモチは、玄米のまま加工。自然な色あいと、つぶつぶの食感、歯切れのよさを楽しめる玄米もちにしています。もち米の生産量が限られているので、数量限定でのお届けです。
伸びがよく、なめらかな食感のミコトモチは、白米もちと玄米もちに加工しています。
白米もちは、色白で絹のようになめらか。玄米もちは、香ばしくきめ細やかな口あたりです。どちらも、噛むほどに甘みをじんわりと感じます。
もち米づくりからおもちつきまで、手間と時間をかけてつくられた宮内舎の杵つき餅。まずはなにも付けず、焼きたてをそのまま味わいたくなります。
宮内舎さんおすすめの食べ方
美味しいもの好きの宮内舎のふたりに、おすすめの食べ方を教えてもらいました。
玄米もち
トースターなどで焼いてから、焼き海苔で巻いて、お味噌をちょっと挟みます。
噛めば噛むほど甘く、玄米ならではの食感も楽しめます。
白米もち
茹でてお椀に入れ、茹で汁を注ぎ、好みの醤油と鰹節をかけます。
お箸ですくった時にへの字になるかたさが理想です。
宮内舎さんのおもちは、ふたつ、みっつと手が伸びる、やや小ぶりなサイズ。網で焼いたり、おぜんざいにしたり、お正月のお雑煮にも。
冬のあいだ、いろいろな味わいで楽しんでいただけるとうれしいです。