思いどおりにならないから、おもしろい。
手の中の、宇宙。
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月に一度、坂ノ途中の編集室のウェブマガジン「日和 びより」をお届けします。
お野菜をはじめ、わたしたちが取り扱うもののこと。生産者さんのこと。暮らしのこと。坂ノ途中のスタッフが今、どんなことを考えているのか。
そんなあれこれを、ありのままにみなさんにお伝えしていきます。
#手しごと、よもやま

うちのぬか床は、わたしが育てたお米のぬかからできています。
ぬか床とは、玄米を精米したときに出る米ぬかに、水と塩を混ぜて発酵させたもの。その中に野菜を埋めておくと、ぬか漬けになります。
せっせと毎日かき混ぜて、三年目。
……と言いたいところですが、「毎日混ぜています」は、少し盛ってしまいました。
気づいたときに混ぜる。気づいたときに野菜を入れる。ふと思い出して、ぽりぽり食べる。
実際は、調子のいいときでも、そんな感じです。
冬には盛大にやらかしました。
部屋に置いたまま出張へ行き、帰ってきてからもしばらく忘れていました。
ある日、「あ!」と思い出して蓋を開けると、つんとしたシンナーのようなにおい。表面には白い膜。
まるで、ぬか床からの無言の抗議のようでした。
これまでも、買ってきたぬか床を何度かダメにしてきました。
けれど今回は、自分のお米のぬかで仕込んだぬか床。
簡単には諦められない。白い膜をすくい取り、塩を足し、ぬかを足し。
最後に焼酎をふくませた布で容器をきれいに拭きあげて、心を寄せる。
それから約四か月。においも味も、少しずつ変わってきました。できあがったぬか漬けの味はいまいちな日もありますが、わたしのぬか床、無事復活! と言えそうです。
漬けるのはたいてい料理に使った残りの野菜です。大根、かぶ、にんじん、キャベツ。
季節やぬか床の状態によっても、漬ける野菜を変えています。
夏はきゅうりやスイカの皮。水っぽくなったら、切り干し大根や干したみかんの皮。
仕事中、ふと自分の手が鼻に近づいたとき。
「あれ、ぬか床のにおい、してる?」
なんだか、ちょっとニヤニヤしてしまうわたしです。
ぬか床のお世話をしていると、生きものと一緒に暮らしているような感覚になります。機嫌がいい日もあれば悪い日もある。おいしい日もあるし、なんだかぼんやりした味の日もあります。こちらの都合などお構いなし。でも、それもぜんぜん悪くないなと思います。
最近は検索すればだいたいの答えが見つかります。なんでも思いどおりにしようとしてしまう。
ぬか床は、法則はあるのに、ままならない。それがおもしろい。この小さな容器の中ではいつも何かが起きていて、まるで小さな宇宙みたいです。
今朝のぬか漬けは、少し酸っぱめ。
明日はどうだろう。
わからない。このわからなさに、わくわくします。
語り・古田佐恵子(はんそく担当)
#in my little kitchen

薬味と麺。それは、いつも、どんなときでも、わたしの心と胃袋を満たしてくれるもの。
春によくつくるのは、ニラたっぷりの煮麺。
冬には、湯気の立つうどんに自家製の柚子胡椒を。
器から溢れるほどの浅葱とハーブをのせ、青い柑橘を搾ったベトナムのフォーは、旅の思い出の味。
鮮やかな香りと、味の奥行きがもたらすのは、ただおいしいだけではない幸福感です。
薬味と麺といえば、やはり、冷やしそうめんでしょうか。
みょうがや大葉、生姜、わさび、炒りごま……香りを重ねれば、ひと夏のあいだじゅう、飽きがきません。
じつは、ぬか漬けも、わたしの好きな薬味のひとつ。きゅうりの古漬けなんかを細かくきざめば、ほどよい酸味がきいて、いつものそうめんが深い味に。
この夏も、薬味と麺の組み合わせを、いろいろ愉しみたいです。
なすの浅漬けに大葉とみょうがの香り。
さっぱり、「なすの冷やしそうめん」
レシピはこちら≫
文・武岡萌(レシピ/編集担当)
#いいもの、ひとつ

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文・日和編集チーム




