生きものの「ブレ」をたのしむ
「やさいはいきもの」
季節とともにうつりゆく、全国各地の生産者さんのお野菜を見て、触って、食べて、わたしたちがいつも感じることです。
おなじお野菜でも、育った季節や環境、天候、生産者さんがちがえば、すがたや味わいがちがいます。お野菜も「生きもの」であるととらえ、そのちがいや個性を「ブレ」と呼んで楽しむことを坂ノ途中では大切にしています。
たとえばトマトを買うとき、糖度計を通して糖度が何度以上と分かったものを選ぶこともできる。けれど、このトマトは甘いなぁ、これは酸っぱいなぁ、いろいろあるなぁと、自分のからだで感じ、味わう。そんな感覚も、大事にしたいと思うのです。
わたしたちといっしょに、お野菜のブレをたのしむ文化を育てませんか?
いろいろなブレの要因
秋になって皮がかたくなったナス、黄色い花を咲かせた菜の花、いろいろな色や形のじゃがいも。そういったブレは、天候や季節の移り変わり、野菜のもつ特性が要因となって生まれます。いくつかの例をご紹介しますね。
天候によるブレ

トマト
トマトの皮が割れてしまっていたら、収穫前に雨がつづいたのかもしれません。トマトはもともと、南米アンデスのカラカラに乾燥したところで育ってきた植物。水があればあるだけ吸おうとする性質があり、長雨の後は皮が耐えきれなくて割れることがあります。
ブロッコリー・キャベツ
寒い時期のブロッコリーやキャベツが、端のほうから紫色になっていることがあります。これは傷んでいるわけではなく、寒さのストレスで「アントシアニン」という色素を出しているから。植物が寒さに耐えようとしている反応です。
甘長とうがらし
甘長とうがらしが辛かった! ということが、たまにあります。その要因は、暑さや水不足、急な大雨など、甘長とうがらしが何かしらのストレスをうけ、自分の身を守るために、カプサイシンを増やしたことが考えられます。万願寺とうがらしやピーマンでも、おなじことが起こり得ます。
季節によるブレ

だいこん・かぶ
だいこんやかぶは、冬のあいだに根に貯めた栄養素を使って、春になると花を咲かせ、子孫を残す準備をはじめます。これを「とう立ち」と言いますが、とう立ちが進むと、中に「す」と呼ばれる空洞ができたり、筋ばって硬くなったりします。
なす
夏から秋にかけて収穫されるナス。夏はみずみずしくて柔らかく、秋が近づいて気温が下がってくると育つのがゆっくりになり、皮がかたくなってきます。でもその分、ぎゅっとつまった深い味わいに。
野菜の特性によるブレ

アスパラガス・菜の花
アスパラガスや菜の花は、数日で筋張ってかたくなってしまうことがあります。お野菜は収穫後も呼吸をつづけていますが、これらはなかでも呼吸量が多いもの。収穫から時間が経つにつれて、花や穂を支えるために根元の方から筋張ってしまいます。届いたらなるべく早くいただきましょう。
れんこん
れんこんは皮が黒くてもおいしくいただけます。れんこんが育つ泥の中は、酸素の少ない状態。掘り出されると、れんこんの表皮にある鉄イオンが空気に触れて酸化し、黒っぽくなることがあります。また、れんこんの表面に傷がつくと、ポリフェノールの一種が酸素と反応して傷ついた部分が褐色に変化してしまいますが、味に影響はありません。
ブレをたのしむコツは「野菜に合わせる」こと

お野菜を生きものとしてとらえると、お料理にも工夫が生まれます。
たとえば、スナップエンドウなら、張りがあって青々としたものは、そのまま蒸したらジューシーでおいしいだろうなとか、ちょっと育ちすぎていたら、茹でて刻んで食感をたのしもうとか。
冬のだいこんは、季節がすすむにつれてみずみずしいものから、甘みがのったもの、水分が少ないものへと変化していく。だから、調理の仕方も少しずつ変えていきます。旬のはしりは、塩もみしてサラダに。甘みが出てくるころには、蒸したり揚げたり甘みを引き出す調理を。水分が少なくなってくる旬のなごりのころには、油をたっぷり使ってじっくり加熱すると、だいこんの空洞にオイルがしみ込み、また違ったおいしさが味わえます。おろして、お鍋に入れてもおいしい。
「やさいはいきもの」
そんなふうにお野菜を眺めてみると、料理をし、食卓を囲む時間が、より豊かでおもしろいものになっていくはずです。
※お野菜につきまして、食べられない状態のものをお届けしてしまった場合は、どうぞご連絡ください。代品をご用意するなど対応いたします。




