家と裏山のあいだに2本の梅の木があります。6月のはじめに青梅を採りはじめ、少しずつ、7月中旬まで採りつづけていきます。最後の採集では、まるっと大きく、黄色くなった実をそおっと。
そのときには、はじめの小ぶりの青梅でつくっておいた梅シロップがいい具合になっていました。瓶の蓋をあけて顔を近づけると、うっとりするような華やかな香り。梅シロップってこんなふうだったっけ……思いもよらなかった香りに興奮してしまった。
シロップだけでなく、梅酒や梅干しも仕込みました……家で採れた山椒の実、やまのあいだファームで育ったアンデスレッド、ご近所さんがお裾分けしてくれたスモモ、大きいのや小さいの、赤、緑、黄色、たくさんの丸っこいものを目にした梅雨のときでした。


梅雨の季節には、もうひとつ大切な仕事がありました。黒豆の種蒔きです──やまのあいだのダイアリーvol.104で書いた黒豆のこと。
「豆の花は暑さに弱いです。早くに種を蒔いてしまうと、暑い時期に花が咲いてしまい、あまり実がつきません。でも蒔くのが遅すぎると、収穫までに霜が降りてしまって傷んでしまいます。だから6月のなかばから7月くらいに蒔くのがいいです」
私の祖父が育てていた黒豆の種採りをつづけてくれた友人が、梅雨のはじまる少し前に黒豆(種)を届けてくれました。
育苗ポットに種蒔き。草を刈り支柱やネットを用意して獣害対策。畝立て。やまあいがお休みの日は、家の畑仕事をこつこつ進めました。父が育てた米のぬかも肥料として使いました。
黒豆はちょっとずつ大きくなってる。すごく緊張しながら育てています。

今年は梅がなり年(豊作)だった。蛍も多い。
近所の人がそう教えてくれて、日が落ちてから散歩に出かけました。街灯も人家の灯りもほとんどなく、川に近づくと、いっぱいの蛍がほわっと光って、消えて、また光って。
家に戻り、寝床から縁側の方を見ると、そこにも蛍。うとうとしながら蛍を見られるなんて……。
夏を迎えます。

●ますお


*最近のやまのあいだファーム/梅雨のあいだ、「耕す」畑では、晴れ間に小さなカマキリやクモがナスの葉の上で動きまわっていました。雨、やんだねー、と言っているようでかわいい。6月からはじまった千両ナスの収穫が一旦おわり、更新剪定をしました。枝葉を落としてナスに休憩時間をとってもらうと、秋にはまた実をつけてくれます。
丸オクラは大きく育ち、私はもちろん、長身の松井さんの背丈も超えつつあります。これからまだまだ伸びます。
上を向いてオクラの実を探し、手を伸ばし収穫するのは大変。でも、オクラの林のなかにいると日陰があって涼しい。カエルもオクラの葉の上で、日陰を見つけて休んでいます。