(Part1はこちら

はじめてmanmaを口にしたとき、理想のベビーフードにめぐり逢えたと思いました。
お野菜の味、お米の甘味、ていねいに裏ごしされた鶏肉や鯛。手づくりの離乳食のような優しく、柔らかい味わいで、お味見のつもりだったのにあっという間に完食してしまいました。

manmaが生まれたとき、武村幸奈さんは大学4年生。
こんなに素晴らしいベビーフードをつくることができたのはなぜなのか? そもそも、どうしてベビーフードをつくろうと思いいたったのか。

そのお話から、人を想うものづくりが見えました。

ベビーフードをつくろう

──はたけのみかたが離乳食づくりに取り組まれたきっかけはどのようなものですか?
「ちょっと長くなっちゃいますが……大学時代のサークル・伏見わっしょい新党の活動として、野菜市を定期的に開催していたんですね。お客さまは、ご近所のお年寄りの方がいらっしゃるとばかり思っていたんですが、お子さま連れのお母さんたちが数多く来られたんです。それもすごく遠くから。
不思議に思って訊ねてみると、自分だけならいいんだけれど、子どもたちには良いものを食べさせたい。だからお野菜もきちんとつくられたものを探しています、そんな言葉が多く返ってきました。子どもを産んで、育てるって、それまでの自分の行動や習慣を変えてしまうくらい大きなことだと気づかされました。
そこから、子育て世代の人たちに向けてなにかできないかを考えはじめました。いろいろ調べているなかで、お店に並んでいるベビーフードを買って食べてみたんですが、びっくりするくらい調味料の味が濃かったんですね。美味しくなかった。子育て中のおかあさんたちに訊ねてみると、忙しいからしかたなく使っているという、ネガティブな気持ちとセットになっているみたいで」
──私もよくベビーフードのお世話になりました。子どもの食事のことで悩む、疲れるくらいなら、楽をして笑顔でいられる方がいいとポジティブに考えたりしていたのですが、満足して使っていたかというと、そうではなかったかもしれません。
「メーカーさんにも問い合わせてみたんですよ。どうしてお野菜の味がなくなってしまうのか、どうして調味料を入れるのかって。そうすると、野菜は個体によって甘味が違うので、それを揃えるために砂糖を入れていますとか、殺菌の過程で味がなくなってしまうので、調味エキスで旨みをくわえますという答えがサラッと返ってきました。
それってなにかおかしくない? って思ったんですよ。
おかあさんやおとうさんが、これを食べさせたいと思うような、ポジティブな気持ちで選びたくなるようなベビーフードをつくりたい、それがmanmaのはじまりです」

manmaに込められたもの

──メーカーで開発に携わっていた者としてはとても耳の痛いお言葉です。開発という仕事をしていたからこそ、manmaにはほんとうに感動してしまいました。包装済みのベビーフードで、ここまで味わいのあるものに出会えるとは思っていませんでした。
「ありがとうございます。開発をはじめたころは、こだわりの調味料をくわえてみたり、試行錯誤を繰り返しました。レトルト加工するとお醤油が焦げて臭くなってしまったり、鶏肉が小石みたいに固くなってしまったり、たくさんの壁にぶつかっているうちに、野菜が美味しいのだから、あえてなにもしない、そのままがいちばん美味しいことに気づいたんですね。原材料を見ていただくとわかると思いますが、シンプルに、野菜の味を大切にすることをいちばんに考えています」
──赤ちゃんたちにも試食していただいたんですか?
「はい。回数は忘れてしまいましたけれど、何度も。表情や、もっともっとと催促する様子が、manmaの美味しさを受け取ってくれたように思いました」
──季節によってメニューを入れ替えていらっしゃることにも驚きました。コンセプトは「四季の離乳食」なんですよね。お野菜のことを考えると当たり前のように思いますけど、商品の流通を考えると、これはすごいことですよね。
「開発をはじめたときは、取り引き先になる小売店さまからご意見を伺って、メニューを固定することを考えていました。でも、そうするとお野菜を保管しておく時間が長くなってしまって、味わいが失われてしまいます。お野菜の持つ美味しさをそのまま届けたいのに、ビジネスの都合に合わせて、季節のお野菜を食べるという選択肢をなくしてしまっていいのかなと思ったんですね。
べつにそうする必要ってないんじゃない? 思い込みを捨てれば簡単なんですね。八百屋さんのように、その季節のものを扱おうと考えたんです」

子どもの食事

──武村さんはおかあさんでもあるわけですが、子どもの食ということに対して、どのような考えをお持ちですか?
「食べものにはいろいろなものがあることを知ってほしいと思っています。無農薬のお野菜じゃないと駄目だとか、無添加のものしか認めないというのではなく、たくさんの選択肢があることを伝えたいです。そして、どういうふうにそれを選択するのかを。まだ2歳なのでこれからですけど(笑)。一皿の料理に、多くの人の多くの思いや考えが詰まっている、それを知ることで、食はすごく豊かなものになると思います。
でも……実は最近、お野菜を食べてくれなくって(笑)」
──うちの2歳児も食べません(笑)。
「ですよねー! これはもうしかたがないのかな、好き嫌いがはじまってしまって。食べる子の方が珍しいのかなと思ったりしてるんですけど」
──はじまりますよね。赤ちゃんのころは食べられたのに(※これには理由があります、またべつの機会にコラムに書きますね)。
「こういう仕事をしていると、野菜好きの子どもに育っていると思われるので困っています(笑)。それとこれとは話がべつだからって思ったり(笑)」
──manmaをつくっているぶん、悩みが深まりそう。でも、きっと、大きくなったら良さをわかってくれると思います。
「そう信じています(笑)」

私は、大手の食品メーカーで加工食品の開発をしていました。美味しいものを届けたいという思いで、商品の品質にはとことんこだわっていました。でも、その一方で、これはしかたがないなと諦めていた部分もありました。

manmaを食べたとき、味だけではないなにかが伝わってきたような気がして、涙が出そうになりました。これまで私はなにをつくっていたのだろうと思うくらい。すごい衝撃を受けました。
お話を聞かせていただいて、武村さんの感動を伝えたいという信念と、子育てをする人たちの気持ちに寄りそう優しさがmanmaに込められていることがわかりました。

育児は大変で、理想としていた子育てのようにはいかず、妥協の連続です。でも、manmaは、親子にとって理想の食体験を提供してくれる。
いつか、私の子どもが大きくなって、そして子どもが生まれたら──つまり私がおばあちゃんになったら──武村さんの思いとともにmanmaを伝えたいです。

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取り助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードを考えている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?