「ごはんに集中できず、時間がかかるばかり。イライラしてしまいます」
「もっと食べさせなさいと健診で言われたけれど、思うようにいかず焦っています」

このようなご相談をよくいただきます。
けれども、子どもがごはんを食べない理由はさまざまです。解決策をシンプルにお伝えすることはなかなかできることではありません。
なぜ食べないのか? を、あるおかあさんと一緒になって探ったご相談の例を紐解いてみます。

1歳10か月のお子さんのケース

相談1

娘は徹底的にお腹が空かないと食べる気持ちにならなくて、決まった時間に食事を摂らせることができません。
保育園に通わせているので、平日の朝と昼の食事時間は定まっていますが、夕食、そして休日は、食事の時間はばらばらです。
1日3食でなく、2食と蒸しパンなどのおやつで終わってしまう日もあります。おやつすら食べない日も……。
検診で少し小柄と言われたこともあって、とにかく食べさせたい! という気持ちが先行しています。欲しがったらごはんの時間でなくても食べさせているのですが、このままで良いのか不安です。

回答

医師から指摘を受けたとのことなので、栄養剤の処方や、生活について何か指示があった場合はそれに従ってください。そのうえで、食事面について考えてみましょう。

お子さんの体重があまり増えないと、何でもいい、いつでもいいからとにかく食べて、と思いますよね。
しかし食事以外のタイミングで何かを口にすることが習慣化すると、嗜好品の摂取が多くなり、脂質や糖質は摂りすぎ、ビタミンや無機質類は不足しがちになります。栄養バランスが偏ると体質にも影響が及びます。間食ではなく、食事でしっかりと食べるようにしていきましょう。

3つのポイントから、このご相談について考えていきます。

1、食事のタイミングでお腹が空かない理由

母乳育児の場合、1才10か月という月齢でも授乳していることがあります。ごはんの前に授乳をしていると、お腹が空きにくいです。
また、保育園などでおやつを食べている場合、量が多かった日はそのあとお腹が空きにくいです。
活動量が少ない子もお腹が空きにくく、食事量も少なくなります。発育が順調であれば、少食はあまり気にしなくて良いと思いますが、小柄と指摘されているので、やはりもう少し食べられるようにしていきましょう。

2、胃の大きさはどうか

保育園で給食をどのくらい食べているか先生に訊ねてみましょう。残しているようであれば、胃の容量があまり大きくないことが考えられます。
胃が小さい場合、1回の食事の量は少なめに、でもしっかりカロリーが摂れるメニューにします。そして、3食に加えて2回の間食を摂らせるようにします。
食事のときに飲みものをどのくらい飲んでいるかも見ておきたいです。牛乳や野菜ジュースをたくさん飲むと、それだけでお腹いっぱいになってしまうためです。

3、食事に対する認識

ご相談に「食べたいときに食べさせている」とありました。
お子さんが、いつでも欲しいと言えばもらえる、好きなときに食べられると認識していたら、食事に集中できないかもしれません。
以上の3つのポイントについて詳しく伺うと、

・保育園でしっかりとおやつを食べている
・寝かしつけの授乳をしている
・夕食時に牛乳を飲んでいる
・平日の夜、食事後も欲しいと言われたら何か食べさせている

という状況でした。

このケースで試していただきたいことは、

・食事に集中できるときは、最初に栄養価の高い肉や魚などを食べさせる
・「ごちそうさま」のあとに食べさせない
 (これを実践するために、食事の最初でできるだけ栄養をカバーします)
・できれば夕食時の牛乳を少なくする

どうしても、お子さんのご機嫌次第ということがありますが、日々の積み重ねが習慣をつくります。3食のリズムづけ、まだ間に合います、大丈夫ですよ!

相談2

好き嫌いが激しく、嫌いなものにはほとんど手をつけようとしません。工夫をして調理をしたり、こっそり好きなおかずに混ぜて出しても取り除いてしまいます。
食パンやロールパンが駄目、お肉はひき肉以外は食べません。野菜は玉ねぎ、にんじん、トマト以外はアウト。お魚は水分が多めな料理にすればほんの少し食べる、という状況です。
毎日「いらないの」と言われながらよけられたり、お皿を返されたりすると悲しくなってしまいます……。それでも出しつづけたほうが良いでしょうか。

回答

子どもは自分が知らない食べものを怖がります。これは美味しかった、食べても大丈夫というものを積極的に食べようとします。
ですから、偏食は、程度の差はあれどんな子どもにもあります。
(偏食については改めてコラムを書きますね)
恐怖心を取り除くには時間がかかります。いちばん効果的な方法は、食卓に出しつづけ、大人が美味しそうに食べる姿を見せることです。
そのときは何も言わず、子どもが手をつけるまで黙って見守りましょう。食べられるかもしれない、食べてみようかなと子ども自身が思い、行動に移すことが大切です。その前に声かけをすると、より抵抗感が生まれてしまうことがあります。
「無理に食べなくて良いよ」という姿勢、声かけを心がけてください。食べなければ「また今度ね」で良いです。少食な子には、必ず好きなものと一緒に出すようにしましょう。
苦味を感じやすい食材はお出しと煮る、パサつきやすいものはしっとり仕上がるよう調理する、などの工夫は効果的です。
けれども、苦手なものを混ぜて出されることで不信感が募るタイプの子もいます。わかりやすくその素材だけのお料理を出してあげても良いかもしれません。
栄養の偏りが気になる場合は、栄養士に相談してくださいね。
今回のご相談内容から考えられるのは、パサつくものが苦手なお子さまのように思います。唾液が少ないのかもしれません。
口の動かしかたのうち、上手く習得できていない動きがある可能性もあります。嗜好の傾向から、「まとめる」「飲み込む」があまり上手でない様子も伺えます。口腔発達に詳しい小児歯科で一度確認してもらっても良いかもしれません。

***

「食べない」はどんな子どもでもありうることです。今回のご相談で見てきたように生活全体を振り返ってみると、変えたほうが良さそうな習慣が見つかるかもしれません。
また、詳しく伺うと実はいろいろなものが食べられていることも多いです。発育が順調であれば、様子を見ながら焦らず。心配なことは栄養士さんや保健師さん、お医者さんに相談してみてくださいね。 

執筆:奥野由(おくのゆい)
大学で栄養学を学び管理栄養士の資格を取得。食品メーカーで商品開発として楽しく働いていたが、出産を機に「子どもと食」への興味がむくむくと膨らみ退職。離乳食や幼児食の勉強をはじめる。母子栄養指導士の資格を取り助産院などで教室を開催しつつ、坂ノ途中と一緒にベビーフードの開発をしている。あだ名は「ちゅい」。その由来もいずれこのコラムで明らかになるかも……?



※現在発売終了しております。改めてリリース予定ですので、お楽しみに!