やまのあいだファームで働いていたわかちゃんが、結婚して退職したのは3年くらい前のことです。
やまあいを去る直前、彼女はライ麦の種を蒔いていってくれました。
ライ麦はぐんぐんと背が伸びて、2メートルほどに育ってとても驚きました。
そして、収穫して、その麦を種にする、そういうふうにして毎年、ライ麦を育てるようになりました。
麦が穂を落としたあとの茎、麦わらはつやつやと光ってしっかりしています。いろいろな麦のなかでも、ライ麦はとくに艶やかで丈夫です。
やまあいでは、その麦わらを使ってストローをつくりはじめました。

11月。
土の上にパラパラと種を蒔き、鳥に食べられないように、刈った草を薄くかけておきます。草のすき間から芽が伸びるように、細い刈り草を選ぶのがコツです。麦は、種を蒔いたあとに土をかぶせなくてもしっかり根付いてくれます。
6月。
梅雨がはじまる前に刈り取り、束ねて下の方を縛って屋内で数週間干します。自分の背より高いので、折れないように干すのが大変。部屋のなかは麦わらの匂いがぷんぷんしています。私は大好き。
7月。
しっかり乾いたらカットします。麦わらには竹のような節があります。節を落として、ストローの長さに。でも、工業製品ではないので、1本1本、長さや太さが違います。
麦わら1本から、だいたい2,3本のストローがつくれます。

もちろん、麦の穂は脱穀して種採りをします。
田舎のおうちなら、たいてい1台くらいは使わなくなった足踏み脱穀機や手回し式の唐箕が眠っています。昔ながらの道具をお借りして、穂から麦を外したり、ゴミを取り除きます。これもなかなか骨の折れる作業です。
脱穀も済んで、残った麦わらは畑で草マルチ(畑の畝を覆う資材のこと)にします。

麦ストローで水を飲むと、ほんのりと麦の香りが立ちのぼってきます。美味しい。
わかちゃん、どうしているかな。

●あかね

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