「旅行のとき、必ず持っていくものってなに?」
坂ノ途中スタッフの、武岡もゆるちゃんと出荷マネージャーの鈴木さんと、そんな話になりました。
鈴木さんから返ってきた答えは、ルンギ。
「夏のインドは暑すぎて、宿の屋上にルンギを敷いて寝てた」
インドなどで、腰に巻いたりする布のことをそう呼ぶそうです。身にまとうだけじゃなくて、なにかを包んでもいいし、ベッドのシーツみたいにしたり、シャワーのあとにカラダを拭いたりもできる。
気温40℃を超えるような土地で、インドの人たちに愛用されているルンギ。
いろいろな用途に使える道具って、旅のときには助かりますね。
ルンギ、素晴らしい……使いたい。

少し前、わたしは数日間、タイの北部を訪れました。
山岳少数民族のアカという人たちが暮らす村に通い、知りたかった日々の生活、家の作り方を教えてもらいました。
そこで、ある人から聞いた話。
「母が糸からつくった布でできた服は、暑いときは涼しいし、寒いときには暖かかったよ。なぜ? 糸って人がつくるものだから、細かったり太かったり、ムラがあるよね。そんな糸でできた布だからじゃない?」
この村でも、均一な糸、布の服を着ることは当たり前のことになっています。彼のおかあさんがつくったような服を日常着にするような生活は、もう世界の片隅にしか残されていない。
おかあさんの布、とても気持ちよかったんだろうな……糸も布も服も機械でつくられるようになったことで、たぶん失ってしまったものもある。
「人は生まれてすぐに布につつまれ、死んだときにも布をまといます」
学生の頃、テキスタイル(染織)の授業の初日でそんな言葉を聞きました。
布とは長いお付き合いになりますね。
仕事のときだけでも、気持ちのよい布・服を着たいです。
涼しい日が多くなって、やまのあいだファームでは大根の葉がどんどん立派になってきています。長袖の服をタンスから引っ張り出さないと。バイクでの帰り道は、もう肌寒いです。

●ますお

※公園でもゆるちゃんがルンギのモデルをしてくれました。可愛い