朝晩は少し肌寒くて、上着をはおるようになりました。
あちこちの田んぼでは稲刈りの真っ只中。お米の品種によって少しズレはありますが、すでに稲を刈ってしまった田んぼも多くなりました。
米農家さんは、稲刈りの前に畦の草刈りをします。
やまのあいだファームでも──お米を育ててはいませんが──お隣の田んぼにご迷惑がかからないよう、1年に何度か草を刈ります。
まずは田植え前。
夏は花が咲く前に。米の花が咲いている間は刺激を与えたくない(受粉率が落ちる)ので、畦をうろうろしないでいいように。
そして、穂が垂れはじめたら、イナゴが増える季節なので、できるだけお米の近くはすっきりさせておきたいです。
最後は稲刈りの前です。
ちょうど今頃、畦をきれいにしてやると、そのあとにひょっこりヒガンバナが首をのばし、真っ赤な花を咲かせます。
いつもは大変なだけの作業ですが、この時期だけは、ごほうびが待っているような気分で、早く草刈りしたいなーと思います。
田んぼのまわりにたくさんのヒガンバナが咲いているの、見たことがありますか?
「なんで田んぼの畦に咲いてるか、知ってるか?」
近所の農家さんに、そう訊かれたことがあります。
獣除けであることは察しがついたのですが、シカでもイノシシでもないようです。
「田んぼは水を張らなあかんやろう。水が抜けるような仕業をするやつは?」
「……あ、モグラ!」
モグラやネズミ除けもそうですが、アレロパシー(※)でイネ科以外の植物の生育を抑えるとか、
飢饉のときなんかに、ヒガンバナの球根を洗って毒抜きして食べる(救荒作物)といった役割があるそうです。
暑さ寒さも彼岸まで。
刈っても刈っても草が伸びる季節も終わろうとしています。畦一面にヒガンバナ。
●あかね
※アレロパシーは、ある植物が放出する物質(アレロケミカル)が、害虫を寄せ付けないようにしたり、雑草の繁殖を抑制したりする効果のこと。日本語では「他感作用」