ある日の、やまのあいだファーム。
「発芽には月の光が必要って書いてある本、読んだよ」
「でも、それも太陽の光だよね。月が輝いているのは、太陽の光の反射だから」
「月の光のやわらかさってことなのかな?」

月のこと、気になる。
農業を始めたばかりのわたしは、そんなやりとりを耳にしたことがきっかけで、太陽暦、太陰暦、月齢などが表示されているカレンダーを眺めるようになりました。
わたしたちが日常で使っている暦は、太陽と地球の運行から作られた、太陽暦。でも、1872年(明治5年)までは地球、月、太陽の動きをもとにした太陽太陰暦が使われてきました。わたしたちが旧暦と呼んでいるものです。
旧暦を意識するようになってから、わたしは毎日、月のかたちを見るようになりました。旧暦では、各月の朔日(ついたち)は必ず新月で闇夜です。そして15日か16日が満月。
月の満ち欠けを感じながら畑仕事をしたら、お野菜や生きものたちはなにか反応してくれるでしょうか。わからないけれど……彼らとくらべたら、わたしが月の光を浴びる時間はほんの少しですね。月の下で散歩してみようかな、なにか変わるかな。

●ますお

▲草刈り・2月5日は旧暦の1月1日、元旦。刈払機の刃を新しくして、畑と池のあいだにある土手に向かいました。土手にはススキがたくさん。茅葺き屋根って見たことありますか? ススキやヨシ、イナワラやコムギワラで葺いた屋根。そして、池の土手や、畑の畦で、材料にする草を生やしていた場所を茅場というそうです。やまあいのまわりには茅葺き屋根の家がちらほら残っているので、ここもかつては茅場だったのかも……そんなことを思いながら、丸1日かかっての草刈りでした

▲カヤネズミの巣・地面から数十センチの高さのところに、草に支えられ、ぼわっと浮いているように見えるカヤネズミの巣。草刈りをしていて見つけました。心地よさそうな家だなぁ、作っているところを見せてほしいです。月と草とのよいお付き合いができる1年でありますように