東京・門前仲町の賑やかな大通りから路地を少し入ったところ。ドアを開けたとたん、香ばしいコーヒーの香りに全身が包まれます。大好きな香り。嬉しくて夢中で吸い込んでいると、店主の岡村澄さんが「どうぞ」とカップをカウンターに置いてくれました。あぁ、いい香り(ますます広がるわたしの鼻孔)。
 BAKU Coffee Roastersさんでは、「海の向こうコーヒー」のコーヒー豆を購入できるほか、店内やテイクアウトで飲むことができます。BAKUさんが扱っているのは、ラオス、ミャンマー、タイ、インドなどほとんどがアジアのもの。すべて岡村さんが焙煎されています。でもどうして、アジアのコーヒーをメインに?
 「純粋に良い豆だし、距離も近いし。農家さんと顔と顔がつながる、ストーリーがある豆を扱いたいんです。それが結果として農家さんの収入になって、美味しいコーヒーを作り続けてもらえたらいいなって思います」
 ところで、焙煎所で豆を買うって、コーヒーに相当詳しくないといけないのかな、なんて身構えていたのですが……。
 「まずは、旅したことがある国とか、ラオスってコーヒー豆作ってるんだ! みたいな発見とか。それぞれの思い出や関心から選んでもらえばいいと思いますよ」
 なるほど、日本と同じアジアの国だと、そういう意味でも親しみやすそうです。
 「あとは構えずに、好きなように飲んでみてもらえたら。だからうちでは、ラベルには敢えて国名だけ。細かな情報は何も書いてません。もちろん、知りたい人にはちゃんと説明しますよ」
 取材中も、途切れることのないお客さん。出勤前に立ち寄る人、店内で読書する人、おしゃべりを楽しむ、常連さんと思しき人。
 「お、こんにちはー」
 「行ってらっしゃい」(テイクアウトのコーヒーを手渡しながら)
 どのお客さんに対しても変わらず丁寧に、気さくに接する岡村さん。そのせいか、なんだろう、初めて来たのに居心地が良くて、コーヒーの味をじっくり楽しめる。「あ、今日BAKUさん寄ってコーヒー飲もうかな」 そんな感じで、ぜひ訪れてみてほしい場所です。


BAKU Coffee Roasters

東京都江東区富岡1-21-11
営業時間:10時〜19時
定休日:水曜日

●お客さま窓口・色川友里