「野菜にこだわる」お店はたくさんある。
そんなお店のひとつ、北山ランタンさんはほとんどすべての野菜を坂ノ途中からの配達でまかなう。
真剣に野菜と向き合い、味の変化や時期・量などあらゆる点で坂ノ途中のスタッフと意見をぶつけあう。
そんな有機野菜の良いところも悪いところも、坂ノ途中の良いところも悪いところも、ぜんぶひっくるめて大切にしてくれている
大杉さんのお話を聞いてきました。
小野:北山ランタンさんはオープンされてから何年ですか?
大杉:2010年9月にオープンしたので、2年半くらいですね。
小野:どんなお店を作ろうと思ってはじめられたんですか?
大杉:もともとは生パスタのお店をつくりたいということから始めて、あとはやっぱり野菜にこだわりたい!っていうところで有機無農薬、いわゆるオーガニックの野菜を探し始めました。
小野:オーガニックではじめてみてどうでしたか?
大杉:最初はオーガニックじゃなきゃダメだ、それがすべてだという感じでした。
今でも、もちろんほとんどオーガニックなんですけど、オーガニックの中にもいろいろあるなぁとか、
だんだんわかりだしてきて。
坂ノ途中さんは、オーガニックというだけでなくて、
(持続可能な農業の普及をめざす)取り組みや姿勢に影響を受けることが多いですね。
もちろん他にもおいしい野菜を売っている業者さんや農家さんっているんですけど、
ウチはそれだけを追求するっていう感じではないです。
応援したいなーというか、ウチで協力できることがあればしていきたいっいうスタンスです。
小野:おお!ほんとにありがとうございます。
最初はいろんなところの野菜も扱われてたんですよね?
大杉:昔は、坂ノ途中さんの野菜のラインナップが少なかったり、季節ものの時期が短かったりして。
あと、タマネギやニンニクといった定番の野菜がないときも多くて、いろいろ他のところを探したりしましたね。
年々(坂ノ途中の)ラインナップが安定してきたり、時期が長くなってきたので、現在ではそんな
不便なことはなくなりましたね。
ただ、坂ノ途中さんの野菜でほとんど動いているので、スーパーで扱っている野菜と比較すると
旬が前後しますね。
小野:たしかに。農薬や化学肥料を使うと時期をずらすことが簡単になるので、
スーパーって季節の野菜が出回る時期が早いですよね。
大杉:ハシリの季節野菜は価値が高いですからね。
小野:そうそう、ハシリの野菜をだせないっていうのは、僕らの弱点ですね。
どうしてもオーガニックだと旬を待たないとうまく作れない。
なんとか地域を分散して作付けを願いしたりして、出荷できる期間を長くする努力はずっと続けています。
大杉:気候の違いを活かして、収穫時期が長くなるように改善してもらっているのは実感していますねー。
大杉:(一般に)有機の農業を広める活動自体は広がってるんですかね?
小野:どうなんですかね・・・・・生まれては消え、生まれては消えという感じですかね。
有機農家さんの数自体は京都は増えてると思いますけど、
やっぱり普通の(有機でない)農家さんと比べると大変ですからね。
有機農家で太ってる人ってほとんどいないんですよ。
体脂肪率10%くらいの人ばかりみたいな(笑)楽してないですからね。
大杉:食べるものも違うんでしょうね。
小野:そうですね、外食する人が少ないですね。家で食べるほうがおいしいやん、みたいな。
有機の農家さんと一般的な農家さんだと、一概にぱっきりと線引きすることはできないけれど、
仕事の内容や生活が全然違うことが多いです。違う職業みたいですよ。
大杉:本当に好きというか信念がないと続けられないですね。
小野:お料理はどんなことを心がけて提供してるんですか?
大杉:そうですね。その場で新鮮な野菜を調理して、わりとシンプルな味付けでだすようにしています。
あとはお客さんのリクエストがあれば、それにも応えていってます。
小野:これからの展開ってどんなふうに考えてるんですか?
大杉:テイクアウトみたいなかたちで、野菜を使った惣菜やデザートを
販売するお店を将来的にはしたいなーと思ってますね。
現在の店舗について言うと、徐々に地元に根付いてきた感じがあるので、
それをもっと加速させて、地元に溶け込んでいきたいですね。
観光地でもあるので、時期によって観光客の方も多いですが、
基本的には地域密着で、近所の人が気軽にこれるようなお店にしていきたいなーと思ってますね。
小野:オープンに至るまではどんなことしてたんですか?
大杉:もともとホテル出身で8年くらい働いていて、料理の基本を学びました。
ただやっぱりお客さんとの距離が遠くて、料理・サービス・お客さんが一体になってないというか、
温度差がある感じが・・・・
その後は祇園のレストランや、パン屋さんとかで経験を積んで、実は最終経歴は給食会社なんですよ。
小野:そうなんですか!!
大杉:独立のために資金をためないと!と思い、給食会社に入ったんですが、そこで高いレベルの衛生に関するルールやアレルギーの方に提供する食事の知識などを身につけられたので、結果的にすごく勉強になってよかったです。
その後に、目標額がたまったんでここを開業しました。
小野:計画的ですね。
大杉:いやいや、ほんとは20代で開業したかったんですけど
けっこうかかっちゃいましたね。
小野:お休みの日は何してるんですか?
大杉:いやぁ、仕事が趣味みたいな感じなんで(笑)
小野:家でも料理ってするんですか?
大杉:する時間があんまりないんですけど、できるときはしてます。
ただ、休みの日は他のお店を見に行きたくて、外食がわりと多いですね。
水曜定休のお店がって多いので、行きたくても行けないお店もあるんですけど(笑)
やはり気になるお店は良いお店が多いですね。
どうやったらこうできるのかな?とか考えながら、
個人でお店されてるところとか特に、雰囲気づくりとか見て勉強してますね。
小野:いやーストイックですねー。
タマネギの味が変わった?というお話から
同じ種類でも、どこの農家さんの野菜かでクオリティにかなり差がある、という会話を経て・・・・
小野:やっぱりひとことで「オーガニック」といっても、量産志向の作り方と
手間かけた「てづくり」な作り方があって、産地が一緒でおなじ有機野菜とうたっていても
クオリティが全然違いますからね。
大杉:オーガニックだからおいしいわけではないってことに
わりと最近みんな気が付いてきてますよね。
前までは有機は高いけどおいしい!って思われてましたけど、
有機でもたいしたことないやん、みたいなこともあったり、
農薬つかっても美味しいのあるやんってなってきてて・・・
ウチの場合は、有機野菜を扱っているということを知らないで入ってこられるお客さんも多いですけど
お客さんが「野菜がおいしい!」って言ってくれることが多いです。
小野:それは嬉しいですね。
大杉:有機野菜は作り手や時期によって品質の差が激しい部分があって、
使いづらい側面もあるけど、それを、だからだめだって言うんじゃなくって、
一つ一つの素材に向き合って、それぞれの個性を活かすようなかたちで料理にしていきたいです。

北山ランタンさんは、生パスタはもちろん、温野菜・スープ等、有機野菜の素材そのものの味を活かした丁寧であったかなお料理が楽しめます。 ジャガイモのフォカッチャは、やさしいジャガイモの甘みが口いっぱいに広がるやさしい味わい。
自家製生パスタと有機野菜の店 北山ランタン
TEL / 075-791-1551
Lunch / 11:30~15:00(L.O.)
Dinner / 17:30~21:30(L.O.)
定休日 / 水曜日、その他臨時休業あり
住所 / 京都府 京都市北区上賀茂今井河原町10-68 Virgo北山A号