気候や土壌と向き合い、環境に配慮して育てられたお米の定期宅配「田んぼと食卓むすぶお米」。
それぞれのお米の産地の景色やつくり手の想い、味わいをご紹介します。
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北海道の米どころ、石狩平野から
北海道新十津川町、白石農園さんの田んぼがあるのは、町の東部の石狩川沿いの地域。道内でも米づくりの盛んな石狩平野に位置しています。
白石農園の4代目を継いだ白石学さんは、約26町の広さの田んぼと畑で、家族とともにお米とトマトを育てています。本州とくらべて田んぼ一枚一枚の区画が大きく、平坦なこの地域では、田植えが終わって稲が生長する初夏になると、青々とした景色が壮観。蛇行していた石狩川のあとにできた沼には渡り鳥が飛来するなど、周囲の生態系が豊かで、空気も、夜の星空もきれいなところです。
おいしさを求めて
大学卒業後、5年間会社勤めをし、27歳のときに新十津川町に帰ってきた白石さん。自分がやらなければ代々の農園が途絶えると知って、家業を継ぐことを決め、就農しました。
小さいころから田んぼの手伝いをしていたわけではないけれど、ものづくりをしたり、壊れたものを自分で直したりするのが好きだったという白石さん。知識はほぼゼロからのスタートでしたが、自ら栽培を学び、資材を改良したり、作業の効率も考えながら、日々の仕事と向き合ってきました。
「気候や作物の生育状況が毎年違うなかで、その変化に応じながら、試行錯誤するのは面白みがある。失敗もあるけれど、それでも最善の結果が出せるようにやっています」
部品を組み立てるように、修理をするように。白石さんは、農業を自然と共にあるものづくりと捉えているようでした。
大切にしているのは、食べておいしく、感動できるものをつくること。
お米の味わいをより良くするために、さまざまな農法から技術や知識を取り入れて試しています。工夫の一つは、水を入れる前に田んぼをよく乾かすこと。秋の稲刈りのあとは排水路を掘り、稲わらが早く分解されるよう「秋おこし」と呼ばれる耕運をします。すると、土中には新鮮な水や酸素が行きわたり、翌年の稲は根はりがよくなり、生育もよくなるのです。
化学合成農薬・化学肥料を減らした、特別栽培のお米づくりを一部の田んぼで実践しはじめたのは、10年程前のこと。環境にも、自分と家族の体にも配慮した、合理的な農業を追究したいと考えています。
また、スマート農業の実証農場としての取り組みでも注目されている白石農園さん。作業負荷の軽減と、環境への配慮の点から、あたらしく、持続可能な農業のかたちを模索しています。
今後の展望は、と訊くと──。
「食味を重視したいので、手広くしすぎないこと。今ある田んぼに手をかけて、特別栽培や有機栽培の面積を少しずつ増やしていけたら」、と話してくれました。
もっちり、つややかな「ゆめぴりか」
白石農園では、北海道を代表する3品種を栽培していますが、生産量の7割程を占めるのが、「夢」とアイヌ語で美しいを意味する「ピリカ」を組み合わせて名付けられた「ゆめぴりか」です。
粒は長く美しいつやがあり、口にするともっちりとした食感と、豊かな甘みを感じます。どこかおはぎを思わせるような、やわらかく、ほっとする味わいです。
炊くときは、通常よりもやや少なめの水加減で炊くのが、白石さんのおすすめ。新米のときにお水を少し減らすようなイメージで炊くと、ほどよい粘りと香ばしい甘みを味わえますよ。
白石農園のゆめぴりか ・産地 北海道新十津川町 ・栽培基準 特別栽培農産物相当(化学合成農薬の成分使用回数、化学肥料由来の窒素成分量が栽培地域で慣行的に使用されている量の半分以下) 坂ノ途中の特別栽培についての考え方はこちら |
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季節とともに移りゆく色。
水や土、草花と生きもの。
にぎやかな田んぼの景色を一緒に育んでいきませんか。
おいしいお米を味わうことが田んぼとわたしたちの食卓をむすび、未来につづく農業や暮らしを考えるきっかけとなりますように。