基準、作ってみました。
新しく農業をはじめた人たちが、化学合成農薬や化学肥料を用いずに育てた農産物を扱おう。 そんなおおまかな方針を頼りに坂ノ途中は歩んできました。 でも、気づけば40人を超えるスタッフを抱えるまでになりました。 大雑把でいいの?とか、なにを「化学合成農薬」と呼ぶの?とか、 スタッフのなかでも話し合いになることがあります。 だから少しずつでも基準を明確にしていきたいと思っています。 もちろん基準を作って終わり!にはしたくはありません。 農業はきわめて多面的な機能を持っています。角度によって見え方がまったく異なります。 栽培技術は日進月歩だし、新しい意見も次から次へと飛び出してきます。 原理原則を大切にしつつ、常に見直しを図ったり、議論したりすることが大切だと思っています。 というわけで、この基準はあくまで暫定のものです。 このあたり、どう考えてるの?それっておかしくない?
そんなご意見もお待ちしています。 ≫加工品の取り扱い基準 ≫放射能に対する取り組みはこちらをご覧ください。

基準01

環境負荷の低減を目指す
農家さんを優先します。

農業というものをマクロとローカルの両方の目でとらえて、環境負荷の低減に取り組む農家さん、彼ら、彼女らが求める役割を、坂ノ途中は担いたいと考えています。 マクロな目で見た環境負荷の低減とは、
  • CO2やメタンガスなど、温室効果ガスの排出を低減する
  • エネルギー効率の改善に取り組む(化石燃料や化学肥料への依存度を下げる)
  • 限りある資源に頼らない(リン鉱石やカリ鉱石、天然ガス、石油、ピートモスなど)
ローカルな意味での環境負荷低減とは、
  • 生物多様性の維持、回復に取り組む(多くの生き物の生息地となるような冬期湛水や魚道設置などの工夫、 インパクトの大きな農薬の不使用、GMO種子の不使用)
  • ローカルな余剰有機物を利活用する(近所の養鶏場からもらってきた鶏糞のたい肥化、落ち葉や畔草の利活用など)
  • カバークロップや緑肥の活用による土壌流亡の抑制
わかりやすい線引きとして、 セットにお入れするお野菜とお米は栽培期間中、化学合成農薬、化学肥料は原則不使用です。 ※2019年7月に「原則」という言葉を書き加えました。詳細は「栽培基準とその運用について」をご確認ください。 個別に注文していただく野菜や果樹については、栽培状況を確認してお買い上げいただけるため、もう少し幅広く扱います。どうしても農薬を使用しないと営農をつづけていくレベルでの収穫量が望めない、樹を未来に残せない。こういった状況に陥ることが、果樹栽培を中心にたくさんあるためです。 坂ノ途中では、そのなかでも、下記の栽培基準02~05をふまえて、「これは食べてもらいたい!」と思えるものを取り扱うことにしました。なお、農薬や化学肥料使用の程度は、最多・最大でも特別栽培農産物と同等、ほとんどのものは特別栽培農産物の栽培基準を大きく下回っています。 ※坂ノ途中の特別栽培についての考え方はこちらご覧ください。

基準02

農産物の品質向上を目指す
農家さんを優先します。

美味しいものを扱いたいです。 共感し、購買してくれる人たちに報いるためにも、しみじみと沁み込むような味わいの 農産物を栽培する努力をしてくれる農家さんと一緒に仕事をしていきたい。 農業者としてのベーシックなスキル、習慣として
  • 農業資材の適正な管理をしていること。
  • 栽培日誌をつけていて、必要に応じて栽培履歴を提出してくれること。
  • 鮮度保持や日持ちのために適切なタイミングで収穫し、適切な保存ができること。
品質向上を目指す姿勢として
  • 品種選定についての工夫があること(e.g.自家採種、地域の在来種、新品種への挑戦など)
  • 栽培手法についての工夫があること(e.g.過剰施肥を避ける、適期収穫、輪作体系など)
  • 科学的理解に基づく栽培を志向していること(e.g.土壌成分分析を定期的に行っている、日々忙しい中でも勉強する機会を確保しているなど)

基準03

地域、社会、農業に貢献し、
尊敬できる農家さんを優先します。

つまり、畑に遊びに行って、「なんかいいな、かっこいいな」って思う農家さんを、坂ノ途中は優先しま
す…! ベーシックなスキル、習慣として、
  • マナーや法律が守れること
  • 後進の育成や地域の活性化、農業技術の底上げを意識し、ノウハウや情報がオープンであること
  • 地域での取り組みに協力的であること
こんな人、カッコイイな!って思う姿勢として、
  • 明らかに不利な条件での農業を、何かしら理由があってつづけている
  • 後輩や研修生、スタッフの面倒見がやたら良い
  • なんかよくわからないけど育てた野菜がとにかく美味しい

基準04

新規就農、小規模
な農家さんを優先します。

なかなか安定的な取引先を見つけにくい新規就農者さんや山間地域の小規模な農家さんを、 坂ノ途中では優先します。環境負荷の小さな農業に挑戦する農家さんが多く生まれるためには、 その農家さんたちを支え、ともに歩む人が必須だと考えるからです。 手間や苦労は、テクノロジーや工夫で最小化できるものはそうするし、 人力で乗り越えるべきところは、どうにかこうにか乗り越えます。 また、自分たちができる努力を果たしたうえで、お客さんへの協力をお願いすることもあります。 なおこの基準は、安定的に出荷してくださる規模の大きな農家さんやベテラン農家さんに支えられて
実現しているという側面があります。
大規模農家さんやベテラン農家さんへの敬意ももちろん大切にします。

基準05

コミュニケーションを
大切にしてくれる
農家さんを優先します。

直接お目にかかるかたちでも、電話でも、メールでも、密なコミュニケーションをしていただける農家さんを優先します。 そのほうが、野菜の細かなコンディションなどを把握して、お客さんに伝えられるし、 仕事をしていて楽しいからです。 できれば近所の農家さんのものを扱いたいという思いもありますが、 物理的な距離よりも心理的な距離を優先したいと思っています。

     坂ノ途中の栽培や基準についての考え方 一覧