暮らしのなかの小さな資源循環のお手伝いとしてお届けしている「坂ノ途中のおすそわけ」。
9月は「おかのりの種」をお届けしています。

種をおすそ分けしてくれた、姫路市の有機農園「ばんごんじんじい」の神崎一馬さんから、おかのりの育てかたや食べかたを教わりました。
野菜がめぐるコンポストでつくった堆肥・土を使って、大きくしてあげてくださいね。

おかのりの育てかた



おかのりは寒さ、暑さに強く、春から秋のはじまりくらいまで種蒔きができます。
土に深さ2cmほどの穴を15~20cmくらいの間隔でつくり、ひとつの穴に数粒ずつを種を蒔いて土をかぶせ、上からふんわりと軽く押さえます。
水やりはしっかりと。芽が出て、本葉が3~4枚になったら間引きをして、丈夫な株を1株ずつ残すようにします。

おかのりは、中国が原産の「冬葵・フユアオイ」の変種とされています。
その名の由来のとおり、冬、霜に当たっても青々としています。
ただし水が足りなくなると、葉っぱや茎がごわごわと硬くなってしまうかもしれません。
できるだけ、こまめに水やりをしてあげてください。

特徴は大きく伸びる性質。なんと高さ2mほどにまで成長します。
茎葉が柔らかい15〜20cmほどの大きさになったら株ごと収穫してもいいですし、大きく育てて、株は残したまま柔らかい新芽や葉を収穫しつづけるのもひとつの方法です。

茎と葉っぱの間に小さな白い花が咲き、それが萎れると、小さな種がドーナツみたいにたくさんくっついているはず。
種を採るのであれば、年が明けるまで大きく育てるといいでしょう。
そうしてまた来年の春、種蒔きを楽しめますよ。

おかのりの食べかた


おかのりは乾燥させて火で炙ると海苔のように黒く、香ばしくなることから「陸」の「海苔」で「おかのり」と呼ばれるようになったそうです。
ツルムラサキやオクラのように少しぬめりがあるのも特徴です。
炙っても美味しいですし、おひたしや炒めもの、味噌汁などに入れてぬめりを楽しむのもおすすめです。


お届けするおかのりの種は、神崎さんが「ひょうごの在来種保存会」という会の山根成人さんから分けてもらって、5〜6年ほど自家採種を繰り返してきたもの。
「この種をみなさんにお届けすることで、種の物語がさらにつづいていったら嬉しいですね」
神崎さんの言葉です。

ところで、なんか不思議な屋号の「ばんごんじんじい」ですが、息子さんが小さいときに口にしていた言葉だそうです。
「だからとくに意味はないんです」と笑いながら教えてくれました。

●文・石川凜