「ネコの手も借りたいです、助けてー!」
近所の農家さんから連絡をもらい、お手伝いに行ってきました。
わたしのネコの手が受け持つのは、マルシェに並べるお野菜の梱包。重さを量り、袋詰めしていきます。
「こんな感じでやってもらえると」
お手本に渡された袋詰めは、お野菜の大小の組み合わせ、並べ方、なんだかとても可愛らしい。
マルシェの当日も多くの人が手に取っていきます。さすがだなと、先輩農家さんの仕事ぶりに感動してしまいました。お野菜、包む、すごく大事。


やまのあいだファームの日々の仕事のひとつにもお野菜の梱包があります。
お野菜がきちんと元気な状態で届くこと、お野菜を目にした人たちが嬉しい気持ちになること、そして、包む役割がおわったときの梱包資材のこと、たくさんのことを考えなければいけません。
もちろん坂ノ途中の出荷場でも同じです。新聞紙や紙袋、ボードン(防曇)という袋、ラップなどを使い分けてお野菜を包みます。包まずに箱詰めするお野菜もあります。
大切にしているのは心地よさ。
できるだけ、お野菜のすがたそのままでお届けしたい。キャベツだったらなるべく外葉を多くつけておく、カリフラワーもしっかり育てていると葉っぱが花蕾を守ってくれるのでそのかたちで。ただ例外もあって、たとえば大根は、もともとの状態だからというので土まみれだと調理の準備が大変だからたいていは洗って出荷する──でも、レンコンは泥がついていないと悪くなってしまうので泥つきのまま──。お野菜が畑にいたときのことを思い浮かべてもらえるように包んでいます。
プラ包装については悩ましい。なんとか脱プラをとみんなで試行錯誤していて、紙袋や新聞紙を使って減らしてはいるけれど、どうしても難しいものもある。葉野菜とか、水分の多いものとか。


包むことを考えていると、かなり前に目黒区美術館で開催された「包むー日本の伝統パッケージ展」のポスターを思い出します。5個の卵が藁で包まれている写真。すごく美しいものでした。
今では藁が梱包に使われることはほとんどないと思います。けれども、祖父が収穫したお野菜を藁縄で束ねて運ぶ、ラオスの人たちが竹ひごや植物の葉っぱでいろいろなものを束ねる、そんな光景をわたしは幾度となく目にしたことがあります。きっと祖父には藁縄が、ラオスの人たちには竹ひごや葉っぱがちょうどいい案配だった。
どう包むか──すごく大事なことだし、考えるのは楽しい。いい案配に包まれたすがたは、美しくて健やかです。
難しいけれど、あれこれの包むを試していこうと思います。明日はのらぼう菜の袋詰めがあります。お手元に届いたとき、素敵って感じてもらえるかな。

●ますお

※最近のやまあい
のらぼう菜の花芽が見えはじめて、暖かくなった最近、ぐんぐんと伸びています。収穫期です。
作業場には、あかねちゃんからの手紙が。
「のらぼう菜の菜の花、22cmでカットすることに決めました。豊作!」
9月から育てはじめて、立派になったのらぼう菜。ほんとうに嬉しい。
どんな様子か、軸の部分をかじってみました……わたしにとっての春の味。おかわりしたい!