我が家はあまり外食をしない──息子に食物アレルギーがあるのと、娘もまだ小さいから。
人が集まるときもウチに来てもらってご飯を食べる。
献立はたいてい決まっている。暖かい季節なら庭でバーベキュー。肉をつまみながら外で飲むビールは格別。寒いときは鍋。焼き魚や小鉢の酢の物を添えて、刺身なんかもあれば最高。これでいただくビールもたまらない。
でも、小さなお客さんたちにはもっと人気のメニューがある。
ぎゅうぎゅう焼き。
少し前にネットでも話題になっていたのでご存知の人も多いと思うけれど、バットに、ゴロゴロと切った野菜やキノコ、鶏肉なんかをぎゅうぎゅうに敷き詰めて、オリーブオイルをたっぷりとかけて塩を振り、オーブンで焼くというもの。
焼きあがったら、そのままテーブルに運んで、みんなで取り分けて食べる。
入れる野菜はなんでもいい。小さなお客さんたちが喜ぶジャガイモ、サツマイモは必ず、息子の好きなミニトマト、娘の好きなキノコもたっぷりと。
これからの季節は、ゴボウ、サトイモ、レンコンなんかも美味しい。

「それって、なに入れてもいいんじゃないの?」
口の悪い友人に言わせると、ぎゅうぎゅう焼きはそういうものらしい。
たしかに、いつもつくっていて、カレー粉入れたらどうだろう、トマトだらけにしたらどうだろう、魚介もいけるんじゃないか、なんていろんな妄想が浮かんでくる。でも、僕にとっては、体調とかアレルギーとか好き嫌いとか、どんな人でも大丈夫な奇跡のレシピとしか思えない。
そんなふうに言うと、友人はふうんと笑った。
「鍋もバーベキューも同じでしょ? なんでもいける」
まあ、たしかにそうだけど……
「ビールが美味しく飲めるってところが大事なんじゃない?」
あ。

●ケンゾー