夏の台風や大雨に負けず、秋ナスが実をつけています。
そろそろ、やまのあいだファームの新しい畑では秋の収穫。それと同時に、冬に向けて少しずつ畝の数を増やし、先週はカーボロネロとスティックブロッコリを定植しました。

vol.27でも書いたけれど、新しい畑は管理機で耕起、畝立てをしています。
少し慣れてきたものの、まだまだ思いどおりにはいかない。
まっすぐ進んでいるつもりでも、機械を止めて振り返ると、くねくねと左右に曲がりくねり、上下は波のようにうねっている。
「のこぎりを真っ直ぐに引けないのは、お前の心が曲がっているからだ」
大工をしていたとき、親方に言われたことを思い出しました。
たぶん、邪念とか迷いとか、そういう意味のことだと思うけれど……ともかく精神論だけでは心細いので、ちゃんとした知識と技術を身に付けないと。まずは基本、それから応用という手順は、人力も管理機も変りがないはず。

管理機を使っていちばん強く感じるのはスピードの違い。
当たり前だけれど、手作業とはくらべものにならない。
人が3日かかる作業を3時間で終わらせる。ああ、楽になったと思う、その一方で、なにかのミスも桁違いになることを心に留めている。歩いている人がなにかにぶつかるのと、自動車の衝突事故が違うみたいに。
人の力も機械の力も、それぞれ良いところと悪いところがあって、どこか一部分だけを見て良しとするのがいちばん危険かもしれない。そのうえでバランスを考える。

リリー・フランキーさんが、なにかの記事でこんなことを言っていた。
「むかしの農家は、お米や野菜をつくる、お金をもらうための作業のことを生業(なりわい)」と呼んで、畑じゃないところを耕すとか、畦道の草をむしるとか、未来のためにすることを仕事と呼んだそうです」
なにか、ここにヒントが隠れているような気がしている。こたえが出るのは、まだまだ先だと思うけれど。

●ケンゾー