恵文社一乗寺店は、書籍や雑貨を扱う人気店。雑貨部門「生活館」では、坂ノ途中の「古代米」や「豆」も扱ってもらっています。イベント的にお野菜販売することも。
「本にまつわるセレクトショップ」というコンセプトの生活館では、「手作りでつくられるモノの温かみ」という曖昧で伝えにくい部分をとてもわかりやすく伝えていて、たくさんの人に支持されています。
取り扱うたくさんの商品をどんな風に選んで、どんなお店づくりをしてるんだろう?そんなことを聞いてみたい!と思い訪ねてみました。
小野:田川さんがいらっしゃる生活館というのは、どんなお店なんですか?
田川:2006年にできました。そのころはまだ私はいなかったんんですが、
「アルネ」「クウネル」といったライフスタイル系の雑誌が出てきて、そういう本を置くのにあわせて
生活の中で使う雑貨も販売しようとできたのが生活館ですね。
小野:当時、本屋さんがそういう雑貨を扱うことって珍しかったんですか?
田川:本屋さん、雑貨屋さんが一緒になっているのは当時は少なかったと思います。
小野:田川さんはいつから生活館に?
田川:3年目くらいですね。大学を卒業してここで働きはじめたのですが、
この近くに住んでいたので学生のころから恵文社には来てました。
小野:働いていてどうですか?上司は本屋さんなんだけど、
田川さんは生活雑貨を選んでお客さんに提案していくって考えると、ちょっと特殊な感じですよね。
田川:うーん、そうですね。
でもお店としては本を中心に雑貨をセレクトしているので、本と雑貨が離れている印象はないですね。
小野:では、商品を選ぶときに心がけていることってありますか?
田川:私個人ではこういうお店にしたい、というのはなくて。
作家さんのつながりで商品と出会うことが多いですね。
できるだけ顔の見える商品を紹介したいな、と思ってます。
小野:なるほど。お客さんはそういうの感じ取ってるんですかね?
田川:うーん、どうなんですかね(笑)
POPを商品に添えたりブログで紹介していると、やはり売れ行きは変わりますね。
小野:恵文社さんのこと、すっごい好きな人多いじゃないですか。
ちょっと熱狂的なくらい支持されてたりしますよね。
その「特別感」みたいなものの理由ってなんだと思いますか?
田川:ありがたいですね。
ふらっと寄って、ついつい何かを買ってしまう、というお客さんの声も耳にしますが、
古道具もあったり、雑貨があったり、本があったりして、
テイストが一定じゃなく、好きなものを「自分」で探して買い物する楽しさがあるかもしれないですね。
そういうのが楽しいお店にしたいです。
小野:あーそれすごいおもろいですね。
田川:そういう八百屋さんとかいいと思いますよ!
以前に坂ノ途中soilさんにお邪魔した際は、黄色いニンジンとか見慣れない野菜が多くて、買うの楽しかったです(笑)
小野:そういう感じ大事ですよね。
「買い物が楽しい店」と「義務の店」ってある気がします。
なんてゆうか、スーパーへ買い物行くのって、食材買わなきゃって「義務」があって行くみたいな。
田川:たしかにそうですね。
ある意味義務でこられる方には、当店は不親切な場所かもしれないですね。
時間を楽しみたいって方に向いたお店なんだと思います。
小野:話かわりますが、田川さんって休みの日は何にしてるんですか?
田川:本屋とは関係ないことしてますよ(笑)
最近三味線とか弾いてます。
小野:三味線!
田川:最近周りに始めた人が多くてそれをきっかけにはじめました。
小野:普段は何食べてはるんですか?
田川:それはちょっとあんまり言えないんですが・・
自炊を心がけています(笑)半分くらいですが。
小野:田川さんご自身は将来どんなこと考えているんですか?2号店とか!?
田川:いやいや、しばらくいます(笑)やりがいのある仕事なんで。
小野:どんなことがおもしろいですか?
田川:もともと大学でデザイン選考してたんですが、わかりやすく伝えるという意味で生活館の仕事にも通じていて一緒かなと思っています。
棚作りやブログでの告知とか。どう伝えるかで反応がすごく変わるんでやりがいありますね。
小野:これからこの店をこんなふうにしていこうとかありますか?
田川:今、生活館のミニギャラリーでは鳥取県にまつわる展示会をしていて、このように、最近は外からお声掛け頂く機会も多いです。
店の中からは生まれないような新しい企画も、試みたいと思います。
小野:県外からの要望は、どんな風につながるんですか?
田川:間に紹介していただく方がいて地方の作家さんたちとつながることが多いですね。
地方にも面白い作家さんがたくさんいるので、上手くご紹介させて頂ければと思います。
小野:以前の企画で僕らもお野菜を売らせてもらったんですが、食べ物とかを販売する企画のときはお客さんはたくさんきますか?
田川:そうですね。
そういうイベントの時はご近所のおばあちゃんが、気軽に買いにきてくれるのも嬉しいですね。
小野:なるほど。
来てもらうきっかけが増える感じなんですね。
田川:こういうイベントをちょくちょくしているというイメージで周りの方に見てもらえることが嬉しいなと思います。
小野:田川さんがいろんなものと出会う中で田川さん自身の価値観というか商品を見る視点が変わってきたりしますか?
田川:いや、逆に好きなものが売れなかったりしますね(笑)自分の好みとは違うところで商品を選んでるんで、いろんなお客さんが楽しい時間をすごしてくれればいいなと。
小野:なるほど!そのへんに恵文社さんの秘密がかくれてそうですね。「雑貨屋さんをやりたい!」って人がお店をすると、自分の好きなものコレクションになりがちというか。たぶん、懐の広さみたいなものが違ってくるんでしょうね。
田川:好きなものは人それぞれですからねー。
小野:そういう視点って、すごく納得できるなあと思うんでけど、堀部さん(恵文社店長)とこの店ってどうあるべきかとか話をされたりするんですか?
田川:いや、そんな切々と語られることがあるわけではないですね。「本にまつわるセレクトショップ」というテーマはスタッフが共通してもっていて、それがいいのだと思いますね。
小野:誰か一人のセレクトじゃなくて、「本」の向こう側にいるたくさんの人が選ぶ商品が集まって、探す楽しさができてるって感じなんですね。
田川:そんな感じだと思います!
「種まきノート ちくちく、畑、ごはんのくらし」
著者:早川ユミ 発行:アノニマ・スタジオ 定価1890円
布作家・早川ユミさんのエッセイ集です。暮らしと仕事がわがやでは一緒、とおっしゃる早川さんは、高知県の山のてっぺんにあるご自宅で、野菜畑や果樹園、紅茶の木など、自分たちが手掛けたものに囲まれた生活を送っています。食の安全や、作り手への関心が高まるなか、種をまき土と繋がった生き方を提示してくれる1冊です。
恵文社 一乗寺店
TEL / 075-711-5919
営業時間 / 10:00 ~ 22:00
年中無休(1月1日を除く)
住所 / 京都府京都市左京区一乗寺払殿町10