僕は蚊に刺されやすい。
家でも、僕だけ蚊に刺されるということがよくある。
痒いくらいならいいのだけど、この頃は大きく腫れあがったり、痒みが収まらなかったり、かなり引きずってしまうので、なるべく刺されないように、虫除けを塗ったり、長袖を着たりしている。
それでも刺されるときは刺される。
刺される人の特徴としてよく言われるのが、体温が高い、汗かき、お酒を飲んだ……どれも身に覚えがあるものばかり。
夜、眠りかけたところに、枕元でプイ〜ンという羽音を聞いて、耳をぱしっと叩く。
すぐにまたプイ〜ン。
ぱしっ!
プイ〜ン。
ばしっ!
耳元が静かになったと思ったら、いつの間にか足の裏を刺されている。
うう……
蚊なんてこの世の中からいなくなればいいのにと呪ったのは僕だけではないはずだ。
「蚊のいない世界」で検索するといろいろなものが見つかる。蚊を食べている生きものが絶滅するとか、カカオの受粉を助けているのでチョコレートがなくなるとか、人間にとってもっとも危険な、病気を媒介する生物がいなくなるので人口が増えるとか。
すごい記事も見つけた。

” 妹が蚊に刺されやすいので、なんとかしてあげようといろいろな実験を行った。
  メスの蚊(オスは刺さない)は、足の臭いではなく、足の常在菌がたくさんある人に反応して血を吸うことがわかった。
  妹の足首から下をアルコール消毒することで、蚊に刺される数は3分の1になった ”

なんて優しいお兄ちゃんだ。
足にアルコール除菌スプレーを吹き付けながら、夕食どき、うちの子どもたちも、そんな兄妹になってほしいと思いながら見ると、おかずの奪い合いで口げんかをはじめるチビふたりがいた。

●ケンゾー