僕が野菜をつくるきっかけになったのも、青年海外協力隊員として滞在したドミニカ共和国に絡んだ話です。

ドミニカではお昼は勤務先の隣の食堂で食べていました。
ライス、豆料理のアビチュエラ(インゲン豆を煮込んだもの)、鶏・豚・牛の肉をトマトソースで煮たもの、サラダ。豆の種類が変わったり、ご飯が炊き込みご飯に変わったり、多少の変化はありますが、ほとんど毎日同じものを食べていました。さすがに飽きてしまって、食欲をなくしたことも。
ところが、ある日、サラダのなかに見たことのないものが入っていました。紫色の、輪切りにされた野菜。なんじゃこれは? と思いながら食べてみたら、えらく甘かった。

そして、日本に帰国して何年かが経ち、たまたま友人の家に遊びに行ったときに、そいつに再会しました。
ショッキングピンクのポタージュスープ、食べたとたんにドミニカのことを思い出しました。
この味知ってると僕がいうと、ビーツだよと友人は教えてくれました。

不思議なことに、ものすごく美味しいと感じたわけでもないのに、ビーツが気になって仕方がない僕は、スーパーへ買い物に行くたびにビーツを探しました。でも見つからない。友人に尋ねると、自分の畑でつくってるとのこと。
なるほど、売っていないのならつくればいいのか。実家に畑もあるし、とりあえずビーツの種を蒔いてみよう。それが僕にとってはじめての野菜づくりでした。

ところで、僕にビーツを教えてくれたその友人ですが、その頃はやまのあいだファームのすぐ近くで暮らしていました。今は、広島のとある島に住んでいて、その隣の島にはやまあいのミカン畑があります。
広島に引っ越すと聞いたときは驚きましたが、なんだか見えない糸でつながっているようです。
友人とは音楽仲間で、以前は一緒にソンやサルサといったキューバ音楽を演奏していました。その話はまたいずれ。

●まつい
坂ノ途中の野菜セットにビーツが入っていることがあると思いますが、うまく使えていますか? ポタージュというと面倒な感じですが、ミキサーがあれば簡単につくれます。僕は少し贅沢をしてココナッツミルクでつくったりします。